[今回の回答者]
インターネットイニシアティブ テクノロジーユニット シニアエンジニア 堂前 清隆
一般的に輻輳とは、あるものが同じ箇所に集中して混雑した状態を指します。インターネットにおいては、ネットワーク機器や回線など特定の箇所に通信が集中し、処理が滞る状態を輻輳といいます。ネットワーク機器が同時に処理できるパケットの量は決まっているので、輻輳が発生すると処理能力を超えたパケットは破棄されます。
インターネットにおいて輻輳が起こることは珍しくありません。パケットの破棄はしばしば発生します。ただし確実にパケットを届ける必要のある通信においては、トランスポート層のネットワークプロトコルであるTCPが再送処理をします。そのため利用者がパケットの破棄によって不便を感じるということは通常ありません。
しかしながら、輻輳によるパケットの破棄と再送が短時間にまとまって発生すると、通信速度が著しく低下して不便を被ります。通常では数Mビット/秒で通信できるのに、輻輳によって数kビット/秒に低下する場合もあります。
輻輳が起きる場所は主にルーターやVPN装置です。これらの機器に通信が集中し、処理しきれなくなった場合に発生します。サーバーで発生することもあります。アクセスが集中し、利用者の認証処理が滞るといった場合です。
ネットワークを設計する際は、輻輳が発生しないよう考慮します。重要なのは容量設計です。利用者は何人いるのか、どの時間帯に利用が集中しやすいのか、どのようなアプリケーションを利用するのかなどの情報を収集して設計します。
(聞き手=大川原 拓磨)