全3053文字
PR
中国にはパンダ形のメガソーラーも(写真:Top Photo/アフロ)
中国にはパンダ形のメガソーラーも(写真:Top Photo/アフロ)

 「2030年までに、風力発電と太陽光発電の総設備容量を12億kW以上とする」

 ゼロカーボンを宣言して間もない2020年12月。主催した「気候野心サミット」で、 習近平・中国国家主席はとてつもなく大きな目標を口にした。

 「12億kW」と言われてもピンとこないかもれないが、一般的な大型原子力発電所の出力が100万kWだから、その量は大型原発1200基分に相当する。この量は、日本全体のすべての発電所の能力の4倍以上にもなる膨大な量だ。それをたった10年で達成すると言うのである。

 独裁国家・中国のリーダーの「約束」はその重みが違う。実現できるという確信があるからこその宣言なのだ。

年間導入量トップを独走

 中国の強気の背景には世界最高レベルの再エネの導入実績がある。中国の累積導入量は2020年9月末時点で合計7.9億kWと世界全体の30%を占める。

 その過半が、太陽光発電(2.2億kW)と風力発電(2.2億kW)だ。年間導入量も7年連続世界トップで、2位の米国に3倍近い差をつける。主要国の太陽光発電の累積導入量のグラフを見れば、2015年前後から、中国だけが次元の違う大量導入を実現しているのが分かる。

主要国の太陽光発電の累積導入量の推移
主要国の太陽光発電の累積導入量の推移
[画像のクリックで拡大表示]

 導入拡大の要因は、太陽光発電の大幅なコスト低下にある。2010年代に太陽光の発電コストは大幅に低下。中国では約10分の1になった。

 日照時間が長く、施工費用の安い内モンゴルや青海などでは、発電コストが約0.2~0.3元/kWh(約3.2~4.8円/kWh)まで下がっている。この価格は、世界的にも安いといわれる中国の石炭火力の発電コストと同水準だ。

 大幅なコスト削減を実現したのは、グローバル市場で圧倒的な地位を獲得した中国メーカーの力だ。石炭火力並みに低コストな再エネ電力が供給されれば、政府も需要家もゼロカーボン化に伴う経済的な負担を減らすことができる。それも、導入する設備は自国企業による国産だから、その投資は国内を潤すことにつながる。

 自国企業が国内需要で磨いた競争力でさらにグローバル市場で事業を拡大すれば、世界での利益が国内経済を潤すことになる。これが習主席の自信に満ちた12億kW導入宣言の理由であり、中国がパリ協定に賛同した大きな要因だ。