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(写真:Shutterstock)
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 中国におけるスマートシティーへの民間の参画事例で、日本から見て最も驚きが大きいのはアリババ集団の「都市大脳」だろう。

 アリババは、都市のビッグデータを分析、判断、処理するAI「都市大脳」を2016年に開発し、杭州市の交通渋滞の解決などに取り組んでいる。

 都市大脳は「公共交通機関の利用状況」や「地図アプリの利用状況」、個人情報などを省いて政府から提供される膨大な「監視カメラのデータ」を利用し、交通を監視・制御している。都市大脳による最適化によって、車の平均速度は上がり、交通事故や違法駐車も自動的に検出されるようになったという。

スマートシティーは個人情報の塊

 都市大脳に利用している情報をみると、膨大な監視カメラのデータなど、「プライバシー」や「監視」といったことが問題になるものが含まれている。日本や欧米ではこういった情報に民間が関わるのはもちろん、収集すること自体が反発を呼ぶだろう。個人情報の扱いは、スマートシティーを進める上で大きな問題なのだ。

 GAFAが強大な力を持ったのは、SNS、検索、オンラインショッピングを通じて得た情報で個人を追跡できるようになったことによる。しかし、彼らが手にしたのはインターネット上の限られた情報にすぎない。

 これに対して、スマートシティーではエネルギー、インフラ、交通、施設などの利用状況、さらには行政データ、都市内の画像データなどが得られるから、やろうと思えば、個人の行動を子細に集めることさえできる。繰り返しになるが、日本や欧米では、こうした情報を統合的に管理することを、民間企業はもちろんのこと行政にすら許すべきではない、という声が主流になる。