
DX(デジタル変革)を推進するため、社員のリスキリングにまい進する企業が相次いでいる。選抜した社員にDXの専門性を磨かせると共に、全社員を対象にDXの基礎スキルを身に付けさせるケースも登場している。しかし自社のDXに必要なスキルを体系化したり、社員教育でDXの実践力を高めたりするのは一筋縄ではいかない。DXのためのリスキリングはどうあるべきか。先行企業の事例から探る。
DX(デジタル変革)を推進するため、社員のリスキリングにまい進する企業が相次いでいる。選抜した社員にDXの専門性を磨かせると共に、全社員を対象にDXの基礎スキルを身に付けさせるケースも登場している。しかし自社のDXに必要なスキルを体系化したり、社員教育でDXの実践力を高めたりするのは一筋縄ではいかない。DXのためのリスキリングはどうあるべきか。先行企業の事例から探る。
出典:日経コンピュータ、2021年11月11日号 pp.22-35
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DX(デジタル変革)に必要な人材を社内で育成する「リスキリング」。キヤノンや住友生命保険など、DXの先進企業が続々と着手し始めた。DXのコア人材だけでなく全社員を対象にするケースも増えている。
三菱UFJ銀行はデジタル技術を活用して同行が置かれる厳しい競争環境に対応するため、行員のリスキリングと外部からの専門人材採用に両輪で取り組んでいる。特に力を入れるのがリスキリングだ。
金沢市に本社を置く北国銀行はデータサイエンティストの育成に力を入れている。データ分析の基盤の活用を視野に入れ、稼働前の2020年9月にデータ活用プロジェクトを開始。その際、データ分析の専門人材を育成すべきだという方針が決まったという。
クレディセゾンは2020年から社内人材のリスキリングによって、ITエンジニアやデータサイエンティストなどの育成に取り組んでいる。きっかけは、現在同社で取締役専務執行役員CTO(最高技術責任者)兼CIO(最高情報責任者)を務める小野和俊氏が2019年3月にCTOテクノロジーセンター長に就任したことだ…
JFEスチールはデータサイエンティストとその候補となる人材を、習熟度によって4階層に分け育成している。この人材育成は2018年に開始し、2020年度末時点で350人のデータサイエンティストを育成した。2024年度末には600人への増員を掲げる。
資生堂はオンラインコマースをDXの柱の1つと位置づけ、百貨店などで接客に従事していたBCを、デジタルチャネルの専門人材である「オムニBC」に転身させた。オムニBCの候補を社内公募したところ125人が手を挙げ、その中から25人を選出した。
大日本住友製薬がデジタル研修の対象にしているのは約3000人の全社員だ。全社員を対象にした理由について大日本住友製薬の菅原秀和データデザイン室主席部員は「製薬業界の変化が激しく、どの階層でもデジタル技術を使いこなすことが欠かせなくなってきている」と説明する。
三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)は2021年3月から、「SMBCグループ全従業員向けデジタル変革プログラム」というデジタル研修を進めている。名称の通り、三井住友銀行やSMBC日興証券、三井住友カードなどSMBCグループの全社員を対象にしている。対象者数は5万人に上る。