全2249文字
PR

 働き方改革を阻害するいくつかの要因のうち、改善が進んだ課題と、解決がほど遠い問題との二極化が進んでいる――。2020年4月から定期的に実施してきたテレワーク調査の最新結果を見ると、このような実態が浮かび上がってきた。

 日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボは「働き方改革に関する動向・意識調査」を2021年10月に実施した。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ目的で発出された緊急事態宣言(まん延防止等重点措置を含む、以下同)が全面解除されたタイミングで、在宅勤務の実施状況や課題について調べた。

 調査でテレワークを「利用していない」と答えた人にその理由を複数回答可の形で質問した。その結果、首位は「同僚(上司や部下を含む)や取引先、顧客と直接対話したいから」と「職場(または派遣・常駐先)で扱う帳票や文書の電子化が進んでいないから」「出社することでON/OFFを区分し、心身を仕事モードに切り替えたいから」の3つが22.1%で並んだ。対話、紙とハンコ、気分の切り替えが3大課題であると改めて分かった。

テレワークを利用しないと答えた人にその理由を複数回答可の形で尋ねた結果
テレワークを利用しないと答えた人にその理由を複数回答可の形で尋ねた結果
(出所:日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ)
[画像のクリックで拡大表示]

 これら3大課題は2020年春に新型コロナウイルスの感染を防ぐ目的で企業がテレワークを緊急導入した直後から指摘されてきた。1年半以上が経過し、課題は改善の方向に向かっているのか。それとも状況は変わっていないのか。あるいは悪化しているのか。そうした傾向を探るために、過去の調査データと比べてみる。

「インフラ」と「制度」は改善の成果

 日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボは「働き方改革に関する動向・意識調査」を2020年春から約半年おきに合計4回実施してきた。各回でテレワークを利用していない人にその理由を尋ね、回答者の割合をグラフにまとめた。4回の調査で一度でも上位3位以内に入った選択肢だけを抜粋した。

 改善が最も進んだのは「勤務先(または派遣・常駐先)がテレワークに必要なITシステム・インフラを整えていないから」だ。2020年4月調査では42.4%の回答者が選んだが、2021年10月調査だと10.4%。実に32ポイント減った。この1年半でノートパソコンやWeb会議ツール、VPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)などテレワーク向けインフラの整備が進んだ成果と言えるだろう。

4回の関連調査で「テレワークを利用しない」と答えた人にその理由を複数回答可の形で尋ねた結果を時系列で並べた(3位以内に入ったことのある選択肢を抜粋)
4回の関連調査で「テレワークを利用しない」と答えた人にその理由を複数回答可の形で尋ねた結果を時系列で並べた(3位以内に入ったことのある選択肢を抜粋)
(出所:日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ)
[画像のクリックで拡大表示]

 「勤務先(または派遣・常駐先)がテレワーク制度を導入していないから」を選んだ人の割合も2020年4月の40.8%から2021年10月は20.8%へと減り、20ポイント改善している。就業規則の変更やテレワーク手当の導入などが進んだ様子が分かる。