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 テレワーク時に「役立つ」と思うクラウドやサービスのうち、使ってみたいITツールやサービスにはどんなものがあるか――。日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボが40種類を対象に調査したところ、電子ハンコやゼロトラストネットワークなどが上位に並んだ。

 調査は日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボが2021年10月に実施した。「テレワークを円滑に進めるために役立つと思うITツールやサービスを選んでください」と尋ね、それらのうち「使ったことはないけど使ってみたい」と思うITツールやサービスを複数回答可の形で選んでもらった。

 選択肢は40種類を用意し、回答率の高い順に1位から10位までランキングを出した。首位は「電子証明書(電子ハンコ)」(21.2%)だった。テレワークの阻害要因である紙とハンコの問題を解決できるテクノロジーとして注目を集めたようだ。

テレワークに「使ってみたい」ITツールとサービスのランキング
順位(前回順位)ツール・サービス名回答率
1(1)電子証明書(電子ハンコ)21.2
2(2)椅 子18.2
3(2)作業机17.4
4(5)外付けモニター14.4
5(16)ゼロトラストネットワーク13.5
6(8)光回線9.7
7(6)在席状況などの可視化支援9.4
8(8)EDI/電子契約9.1
9(4)仮想デスクトップ(VDI、DaaSなど)8.8
10(13)電子稟議/ワークフロー8.5
(出所:日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ)

 紙とハンコからの脱却という意味では、8位の「EDI/電子契約」(9.1%)、10位の「電子稟議(りんぎ)/ワークフロー」(8.5%)も役立つ。これらを「使いたい」というビジネスパーソンのニーズに応え、生産性を引き上げるためにも、企業はペーパーレスと業務プロセスの電子化に改めて臨みたい。2022年はデジタル投資の決断と実践が求められる。

利用意向が急上昇、ゼロトラストに期待

 使ってみたいITツールやサービスの2位は「椅子」(18.2%)、3位は「作業机」(17.4%)、4位は「外付けモニター」(14.4%)だった。6位の「光回線」(9.7%)を含め、自宅のテレワーク環境の充実につながるアイテムが上位に並んだ。

 話題の新技術も上位に食い込んだ。最たる例は5位の「ゼロトラストネットワーク」(13.5%)だ。2021年4月の前回調査時は16位だった。順位を一気に11上げた。

 ゼロトラストは情報システムにアクセスするパソコンなどの利用場所を社外と社内とで区別せず、どこから使っても同一の情報セキュリティーのレベルを保てるようにするための技術だ。VPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)に代わる仕組みとして、一部の先進企業が導入を始めている。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ目的で在宅勤務が急拡大した2020年を「テレワーク元年」および「VPN元年」とするならば、2022年は「ゼロトラスト元年」となるかもしれない。

 ただ、企業が全ての業務システムやクラウドをゼロトラストに完全対応させるにはそれなりに時間がかかる。特定のクラウドなどを先行させつつ、しばらくはVPNと併用する形が現実的だろう。

「可視化支援」で対話の課題解決へ

 もう一つの注目は7位に入った「在席状況などの可視化支援」(9.4%)だ。テレワークの普及に伴い就業時刻を記録する目的で勤怠管理ツールが広がっているが、もっときめ細かく、就業中の状態を知りたいというニーズが生じつつある。

 「あの上司はテレワーク中なのか、それとも出社しているのか」「部下は出社中と言っていたが、フリーアドレスのどのあたりに座っているのか」「テレワーク中の同僚はいま会議中なのか、あるいは話しかけても問題ないか」――。

 このような状態が分かれば、互いにコミュニケーションが取りやすくなり、テレワークにおける対話の課題解決にもつながるだろう。

 最後に、40種類のITツールとサービスを5分野に分けて集計した結果を紹介する。5分野とは「端末・通信関連」「対話・情報共有ツール/クラウド」「業務用・ペーパーレス支援ツール/クラウド」「情報保護関連」「周辺機器・その他」で、それぞれの項目を多い順から並べている(横軸に取ったパーセンテージが異なる点に注意)。

 2022年にどんな技術がブレークするのかを見極める際の参考にしたい。