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 Webサイト上で車種を選び、オプション装備を付け、自動車保険を見積もって購入契約を済ませる。納車までマイカーには一切対面しない―――。自動車大手ホンダが、こんな買い方を打ち出した。2021年10月に開始した新車オンラインストア「Honda ON」だ。

 「新型コロナ禍での購買行動の多様化に対応できるサービスだ。若い世代の車離れという課題も解決したい。スマートフォンを介することで車を身近に感じてほしい」。ホンダセールスオペレーションジャパン営業部オンライン販売課の井上喜章主任は、こう狙いを語る。

Honda ONのWebサイト画面
Honda ONのWebサイト画面
(出所:ホンダセールスオペレーションジャパン)
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 Honda ONの主なターゲットは30代以下の若い世代やあまり車になじみがない人、興味はあるがディーラーに足を運ぶのはハードルが高いと感じている層だ。対象車種は軽自動車、コンパクトカー、ミニバン、SUV(多目的スポーツ車)からそれぞれ人気車種を用意した。車につけるオプション装備もホンダが推薦した中から選ぶ形とした。

車種やオプションを限定、ノールック購入のハードル低く

 月額料金制のサブスクリプションサービスとして提供し、現在の契約形態はリースのみだ。今後、買い切りに広げる可能性もあるという。井上主任はサブスクとした理由について「車は詳細なオプションなどを考え始めると買い方の選択肢が多くなる。自動車税、メンテナンス費用などを全て含む月額制にすることで複雑さを回避できる形が、スマートフォンでの購買行動に最適だ」とした。

 車種やオプション装備の選択肢を限定することで、車になじみがない層がノールック購入で感じるハードルを下げる考えだ。具体的な登録会員の数は非公表だが、半数程度を30代以下が占めており、出足は好調という。同社によると、既に契約を済ませて納車待ちの会員も存在する。

 具体的な購入の流れはこうだ。利用者はHonda ONのサイト上から車種のタイプ・色・契約年数・オプションなどを選び、氏名やメールアドレスを入力して会員登録を済ませる。納車やメンテナンスの場として、販売代理店「Honda Cars」の店舗を選んだのちに購入のための審査が行われ、契約を終えるとあとは納車を待つのみだ。

Honda ONでオンライン化できるプロセス
Honda ONでオンライン化できるプロセス
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 公的書類を含む契約書の郵送は必要となるものの、顧客は納車までホンダの販売員や購入する車と一度も対面せず、購入を完了できる。自動車保険の見積もりや車の買い取り価格診断もオンラインで実施可能だ。