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 2021年11月17日時点でマイナンバーカードの交付数は5007万枚。全人口の39.5%、約5人に2人が持つカードとなった。政府は2023年3月末までにほぼすべての国民が所持することを目標としているが、多くの人はカードを所持していても利用することはほとんどない。一方、新型コロナウイルス感染症対策では自治体窓口などでの対面や混雑を避ける目的で 、急速にオンライン申請サービスが拡大。これらを利用する際に、本人確認の最上位として位置付けられるマイナンバーカードを活用する用途は増えつつある。一人ひとりが利便性を感じられるほど利用場面は増えるのだろうか。

マイナンバーカードの健康保険証としての利用が本格的に始まった2021年10月、牧島かれんデジタル相は自身のマイナンバーカードを使い、保険資格を確認するデモを行った
マイナンバーカードの健康保険証としての利用が本格的に始まった2021年10月、牧島かれんデジタル相は自身のマイナンバーカードを使い、保険資格を確認するデモを行った
撮影:日経クロステック
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約1割がマイナンバーカードを使いオンラインで転出手続き

 市役所が混雑する引っ越しシーズン。 手続きのために2~3時間窓口で待つこともあるという茨城県つくば市では2021年春、スマートフォンとマイナンバーカードがあればオンラインで転出の手続きをできるようにした。繁忙期の2021年3月には、転出者の9.7%に相当する256件がオンラインで転出手続きを完結した。10月末までの合計でも全体の7.9%がオンラインで転出手続きをした。

 つくば市が行政手続きのオンライン申請システムを導入したのは2021年2月。新型コロナウイルス感染症対策もあり、窓口の混雑回避を進めるためだ。採用したのは、行政デジタル化を支援するスタートアップのグラファー(東京・渋谷)が提供する「Graffer スマート申請」である。同サービスは、オンラインフォームに入力後、スマートフォンにマイナンバーカードをかざして電子署名用パスワードを入力することで本人確認する。

 つくば市はこれまで本人確認や手数料振り込みなどを必要としない、施設利用申し込みなどには茨城県が提供するオンライン申請システムを活用してきた。そのほか、政府が提供するマイナポータルを使ったオンライン申請も一部で利用している。Graffer スマート申請を導入したのは、マイナンバーカードを使った本人確認ができるうえ、クレジットカード決済による手数料振り込みまでオンラインで完結する点を評価したからだ。

 「今後、行政手続きの基本として、マイナンバーカードで本人確認する、スマートフォンを入り口としたものになっていくのは間違いないと考えている」とつくば市市民窓口課の中川伸一課長は言う。一方で、「(マイナンバーカードは)まだ十分に普及していない。パスワードを覚えていない人も多い」(中川課長)と所持する人が十分に多くないのに加え、ユーザーが使い方にも慣れていないといった活用していくうえでの課題も指摘する。

 人口約24万人のつくば市は2021年11月1日時点のマイナンバー交付枚数率は44.0%と全国平均を上回るが、「今は過渡期。マイナンバーカードを所持していても利用していない人も多い。用途を丁寧に説明していく」と中川課長は話す。