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 政府が取り組むマイナンバーカードの目玉施策の1つである健康保険証利用。マイナンバーカードを保険証として利用する「オンライン資格確認」の本格運用が2021年10月20日に始まった。マイナンバーカードを顔認証付きカードリーダーにかざすことで、医療機関や薬局が利用者の保険資格を確認できる。だが利用者がマイナンバーカードを保険証として利用できるのを実感するにはまだ時間がかかりそうだ。11月21日時点で運用を開始したのは、対象約22万9000施設のうち約1万7000施設と1割に満たない。

マイナンバーカードを顔認証付きカードリーダーにかざしている様子
マイナンバーカードを顔認証付きカードリーダーにかざしている様子
(出所:日本調剤)
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 しかしそんな状況の中、オンライン資格確認の導入と運用に力を注ぐ薬局がある。調剤薬局大手の日本調剤だ。現在、2021年3月末までに開局した全国663の店舗でマイナンバーカードを保険証の代わりに利用できる。

 2021年7月のプレ運用時から11月15日までの累計で1400回ほど利用された。日本調剤は1カ月に100万枚ほどの処方箋を扱うことを考えると、まだまだ利用頻度は少ない。しかし「マイナンバーカードを保険証に利用できるように登録しても、実際に使える場所がなければ意味をなさない。医療インフラを整える意味でオンライン資格確認を推進している」と日本調剤 薬剤本部 薬剤企画部の山田博樹課長は話す。

 オンライン資格確認の導入で日本調剤が期待することの1つが、薬局の「かかりつけ機能」向上だ。かかりつけ薬剤師・薬局とは2016年に始まった制度で、患者が一定の要件をクリアした薬剤師の中から指名することで、毎回同じ薬剤師が薬の飲み方や副作用を説明したり、相談を受けたりするもの。患者が服用している多数の薬の情報を把握し、継続して患者と関わっていく。

 患者は3割負担の場合、通常より60円から100円程度負担が増えるものの、薬局が閉まっている休日や夜間でも薬の相談に応じてもらえたり、外出が難しい高齢者の場合は自宅での服薬指導に対応してもらえたりするなど、よりきめ細かいサポートを受けられる。日本調剤はかかりつけ薬剤師・薬局制度を推進しており、かかりつけ薬剤師の在籍店舗の割合は86%にのぼるという。薬局にとっては薬局や薬剤師の「ファン」をつくる機会になる。コンビニエンスストアの数よりも多い薬局において、毎回利用してくれる患者の存在は経営面でも重要だ。