住友生命保険でデジタル案件を多く手掛ける筆者は、健康増進型保険の開発をきっかけに、現場でDX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトを試行錯誤して続けてきた。苦労や課題にも多く直面した。人からよく聞かれるのはDXに必要なことは何か、失敗してしまう原因や成功する方法とはどういうものか、さらにデジタル人材をどう育てたらいいのかといったことだ。現場のDXを一から経験して得たノウハウを基に、現場担当者がDXについて理解を深め、すべきことを実践する上で役立つポイントを具体的に説明する。

住友生命が実践、「現場DX」の勘所
目次
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成果が出ないリスキリングには理由がある、実践して分かったDXの「学びの仕掛け」
筆者は多くのDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する講演や研修を行う。研修では、DXを知っていると答えた受講者よりも、DXをほとんど知らないと答えた受講者の方がより高い評価を得ることが多い。なぜそうなるのかを説明しよう。
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DX向け開発の死線はUI・UXにあり、エンジニアはビジネス要件を考えよ
DX(デジタルトランスフォーメーション)ではUI(ユーザーインターフェース)/UX(ユーザーエクスペリエンス)の向上は、消費者や顧客を引き付けることになるので重要である。しかし筆者と開発チームのメンバーたちは、最初これが分からず、そこまで重要とは気付いていなかった。
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DXで困ったのはパートナーとのシステム接続、際限なく増える業務をどう解決したか
DX(デジタルトランスフォーメーション)を語る上で、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)は欠かせない。今回は、DXでパートナー企業のシステムとAPI接続した際、苦労したエピソードを紹介したい。
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DXで一番つらいのは「スマホ」のシステム開発、解決の糸口は目の前にあった
DX(デジタルトランスフォーメーション)型健康増進保険「Vitality」の開発では何が大変だったか。手掛けたプロジェクトで大変だったものは数多くあるが、その中で一番を選べといわれれば、それは「スマホアプリを使ったシステム開発」だった。
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IoTの真価はデータ取得にあらず、DXにおける「データで価値創造」の本質
IoT(インターネット・オブ・シングズ)といえば、データを取得する技術論に目が行きがちだが、単に取得することでは意味がない。重要なのは、データを取得し、価値を創造し、顧客に提供し続けることである。
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DXに欠かせない「輸入力」、新しいアイデアをもたらすのは外の人
DXを進めるためには「外部の知見」をうまく活用することが欠かせない。なぜなら、DXのような新しいことをする場合、社内だけの知見では問題解決や新しいアイデアを発想するための素材が不足するからである。特にDXは新しい「データ、デジタル、ビジネスの仕掛け」が必要なので素材は多いほうがいい。
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「用語が分からず会話にならない」DXはつらい、新たなスキルを身に付ける癖を持つ
筆者がDX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトで直面したのは、「仕事で使うデジタル用語、ビジネス用語が分からない」というものだった。DXのような新しい仕事を進める中での会話には、専門用語や特有の用語、言い回しがある。それを前提とした会話になることが多く、知らない人にはつらい。
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DXで最初に買ったのは「英語翻訳ソフト」だった
DX(デジタルトランスフォーメーション)に悩む人から多く質問されるものに「DXでどのような物を最初に購入したか」がある。データ分析ツールか、スマホアプリ開発ツールか。どれも違う。最初に買ったのは、なんと英語を日本語に翻訳するソフトウエアであった。
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DXのシステム構築はなんとかなる、まずは「地道なプロジェクト管理」から
筆者が行うDX関係の講義、セミナー、研修において、参加者からよく聞かれることがある。「DXプロジェクトを成功させるために一番重要な能力とは何か。イノベーティブであることか、すごい発想ができることか、もっと別のものか」というものだ。
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何といっても「顧客価値」がDXの原点である
筆者はこの数年、社内外で年間40回ほどDX関係の講義、セミナー、研修などを行っている。参加者からよく聞かれることの1つに「DXプロジェクトを成功させるためには何が重要か?」というものがある。
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DXに必須、現場担当者が知るべき「ビジネスの仕掛け」キーワード59
DX企画・推進人材には、「ビジネスの仕掛け」を活用する力が必要になる。用語を覚えるだけでは不十分であり、意味を理解し、どう効果的に使えばよいか思い付くまで自分のものにすることが大切だ。そうでないと、ビジネスサイドの担当者、経営者との会話が成立しない。
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「たかが言葉」ではない、DX企画・推進人材が知るべき最低限の用語
DX(デジタルトランスフォーメーション)は「データ、デジタル、ビジネスの仕掛け」を基にした経営改革のことである。DX企画・推進人材は「データを活用する力」「デジタルを活用する力」「ビジネスの仕掛けを活用する力」を蓄える必要がある。
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マインド改革を目指すワークショップ型DX研修、3年で参加者の意識や行動に変化
住友生命が運営している「VitalityDX塾」の目玉であるワークショップ型研修を紹介しよう。研修の一部の様子を撮影した動画も掲載するので、雰囲気を味わっていただきたい。
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住友生命の「VitalityDX塾」、ビジネスに強い人材を育てる独自の自己学習とは
住友生命では、システム人材とビジネス人材にビジネス発想力を持ってもらう研修プログラム「VitalityDX塾」を実施している。このように名付けたのは、DX人材育成の重要性を強く認識したからだ。この気持ちを忘れないようにして、筆者は塾長としてVitalityDX塾を運営している。
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非先端人材からDX人材へシフト、5人のイノベーティブな転身を見る
DX(デジタルトランスフォーメーション)型健康増進保険である「Vitality」の開発をきっかけに、住友生命保険では非先端人材をDX人材へシフトする方針としている。今後、基幹システム群をDX型システムに再構築することを予定しているためであるが、どのようにシフトするのかが課題であった。
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迷わないDXは「ビジネスバリュー」把握から、本100冊読んで必勝モデルを整理する
自社のDX(デジタルトランスフォーメーション)で何をすべきかは、自社のビジネスのバリューを洗い出す必要がある。これをベースに、「データ、デジタル、ビジネスの仕掛け」を使ってどんな顧客価値にするのかを考えるとDXの方向性に迷いがなくなる。
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DXを弁当ビジネスで考える、データ取得・分析のための7つのヒント
DXの目的と手段、そしてDXの本質である「データ、デジタル、ビジネスの仕掛け」の関係を弁当ビジネスで考えてみたい。具体的な商材をイメージすることで、自らのビジネスに適応するための頭の体操になる。
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DXにのめり込む人へ問う、「手段を目的にする誤ったDX」はこう正す
DXの本質は、「経営課題をデータとデジタルとビジネスの仕掛けを使って解決する」ことだ。ところが多くの現場は「手段の目的化」を引き起こす。なぜ手段としてのDXが目的化するのか、深掘りしたい。この点が分かれば、DXに取り組む際に「正しい問い」を立てられる。
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DXの定義を議論するのは不毛、「5段階」のレベル分けを提案する
DXという言葉を定義しないと、さまざまな解釈が生まれて混乱することを、筆者が現場で経験した事例を使って説明する。そしてDXを社内共通語として同じ認識レベルにするため、筆者が考える「5段階のレベル分け」を提案したい。
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DXに万能な唯一無二の方法はない、現場での「はやり言葉」は不要
「DX」という言葉が話題になり始めたのは2018年ごろで、その後火を付けたきっかけは恐らく経済産業省の「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」である。それまで有識者の特別なものであったDXという言葉が増え、現場では混乱が始まった。
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