Windows 10ではLinux実行環境の「WSL」(Windows Subsystem for Linux)が標準搭載され、「本物のLinux」がすぐに使えるようになりました。最新版の「WSL2」について、導入方法や基本的な使い方などを解説します。
Microsoft社は2021年6月下旬、Windows 10の後継となる新OS「Windows 11」を発表しました。7月上旬からは、Windowsの開発版を試せるWindows Insider ProgramのDevチャネル経由でWindows 10からアップグレードできるようになっています。
Windows 11はWindows 10から枝分かれした形で開発されており、これまでDevチャネルで開発されてきたWindows 10向け新機能やその発展機能などが取り入れられています。
ここでは、Windows 10のリリース版にはまだ入っておらず、Windows 11のInsider Preview版で利用できるWSLの新機能を紹介します。なお、Microsoft社はWindows 10の次期アップデートもリリースすると表明しているため、今後Windows10でもこれらの新機能が使えるようになる可能性があります。
WSLをコマンド一つで導入可能
現状のWindows 10でWSL2を導入するには、(1)設定でWSLと仮想マシンプラットフォームを有効にする、(2)WSL2用Linuxカーネルをダンロードしてインストールする、(3)WSL2をデフォルトにする、(4)Microsoft Store経由でLinuxディストリビューションをインストールする――という四つの作業が必要です。
これに対してWindows 11では、コマンド一つでWSL2を導入できるようになります。管理者権限で起動したコマンドプロンプトやPowerShellから次のように実行します。
このコマンド一つで、前述した四つの作業がまとめて実行されます(図1)。インストールが完了してWindowsを再起動すると、コマンドプロンプトが自動的に開き、Linux環境のインストール操作の続きが実行され、WSL2のLinux環境が起動します(図2)*1。
デフォルトでインストールされるLinuxディストリビューションは、本特集で選んだのと同じ「Ubuntu」です。その他のLinuxディストリビューションをインストールしたい場合には、次のように-dオプションで指定します*2。
上記コマンドでインストール可能なLinuxディストリビューションの一覧は、次のように実行すると確認できます(図3)
*2 最初にWSL2をインストールするときだけでなく、後からWSL2向けLinuxディストリビューションを追加する際にも同じコマンドが使えます。