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 多くの人にとって、今や「カメラ」と言えばスマートフォンが搭載するそれを意味する。驚くほど進化した、この身近なツールをもっと使いこなしてみよう。

AIがスマホ写真のレベルを変える

 AIを用いた絵作りも昨今のスマホカメラの特徴だ。iPhone 13シリーズが搭載する「A15 Bionic」やグーグルの「Pixel 6」シリーズが搭載する「Tensor」といったSoCには、高性能な機械学習コアが組み込まれており、複雑な演算が必要なカメラ機能や画像表現を実現する。今まで大きな撮像センサーを持つデジタルカメラでしかできなかった表現や、スマホ独特の画像処理なども瞬時にこなす(図5)。

AIスマホが写真をさらに進化させる
AIスマホが写真をさらに進化させる
図5 スマホは1回のシャッターで複数枚の画像を取得している。それをAIが判断して明るさや色、ブレなどを調整、出力している(※撮影後に光源の位置や強さを調整できるAndoridの機能)
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 例えば、ポートレート撮影における「ぼけ」は本来、大型センサーと明るいレンズを使えるデジタルカメラが有利だが、スマホはAIによる「コンピュテーショナルフォトグラフィー(計算写真学)」のパワーでそれを可能にしている。2つのカメラを搭載したスマホは、それらで得られた画像の視差を利用して背景ボケを作り出していたが(画素を分割しての測定もある)、AIによって今やシングルカメラでも瞬時にぼけを作り出せる。

 人物を撮影した場合、まず機械学習による分析で瞬時に顔を検出、その後、顔の凹凸などの構成を取得して人物と背景を判別していく。これによって「顔認識」「ポートレートライティング」「ポートレートモード」が生まれる。「ぼけ」の量(被写界深度)も撮影後に計算によって自在に調整できる。明暗差が激しい被写体の明所と暗所の露出バランスをうまく調整した「HDR」なども、複数のカットをAIが瞬時に計算、合成して美しい写真に仕上げる。このように、スマホ写真は「AIが司っている」と言って過言ではない。