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 政府は、中央官庁の情報システムをクラウドに集約する第2期政府共通プラットフォーム(第2期PF)を早期に廃止する方針だ。2022年度からは原則として第2期PFに移行する新たなシステムを募らず、デジタル庁が新規に構築する「ガバメントクラウド」へ移行を促していく。

 第2期PFはインフラのコスト半減を目標に掲げ、米Amazon Web Services(AWS)をクラウドの調達先ベンダーに選定。2年近い準備を経て2020年10月に運用を開始したが、1年足らずでサービスは終了に向かう。運用を担当する総務省は設計・開発や工程支援に限っても12億円以上を投じた。これら第2期PFの成果物は短命で終わることになる。

 当初は第2期PFを引き継いだデジタル庁が、ガバメントクラウドの一部として第2期PFを運用する案もあったが、最終的に採用しなかった。どちらも民間クラウドを全面採用しながら、ガバメントクラウドはベンダー依存の脱却を狙って調達方法を従来から大きく変えようとしているからだ。

 第2期PFからガバメントクラウドで何が変わるのか。「初代」と「2代目」の政府共通クラウドの違いから、デジタル庁が目指すデジタル調達改革の考え方と課題が見える。

第1期・第2期PFともにガバクラに集約へ

 第2期PFを温存せず、ガバメントクラウドを唯一の共通クラウドとする政府方針は2021年6月に決まった。閣議決定した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」で、「各府省庁は、2022年度以降の新たなクラウドサービスの利用の検討に当たっては、原則としてガバメントクラウドの活用を検討する」と明記している。

3つの政府共通インフラの運用状況。第1期PF、第2期PFともに仮想システムをガバメントクラウドに原則移行させる
3つの政府共通インフラの運用状況。第1期PF、第2期PFともに仮想システムをガバメントクラウドに原則移行させる
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