鉄道軌材工業(東京・中央)は、ボルトを用いずに枕木とレールを締結する板ばね式の装置「無螺釘(むらてい)式締結装置」を「第7回鉄道技術展2021」(幕張メッセ、2021年11月24~26日)に出展した(図1)。トルク管理が不要で、設置・保守時の省力化を図れる。
枕木とレールを固定する際、一般的には板ばねの上から挿し込んだボルトを回して留める。これに対して新開発の装置は、側面からカムレバーを挿し込み、レンチで約60°回すだけで固定できる(図2)。ボルト式の締結装置に比べて部品点数が少なく、設置時の手間とコストを抑えられる。
十分な締結力を持たせるために、2種類の戻り止め機構を採用した(図3)。まず、カムレバーを偏心させて、締結時のばねを押し戻す力が常に締結方向へ向かうようにした。これにより、カムレバーが解除方向に戻りにくくなったという。加えて、ショルダーの一部とカムレバーの一部に平面を設け、締結時には2つの平面が合わさるように設計した。摩擦が増大し、強固に締結できるとする。締結力は5.5kNを想定している。
カムレバーの端は6角形になっており、1つの面にロゴを刻印している。このロゴのある面が真上を向いていれば締結されている状態を、60°以上レール側に向いていれば非締結状態を示す(図4)。締結/非締結を見分けやすく、ボルト式の装置に比べて保守にかかる時間と手間を減らせる。
同社によると、枕木の寿命は50年程度とされ、鉄道事業者は順次、交換作業を進めている。人材不足などにより設置・保守時の省力化が求められており、開発品はこうしたニーズに応えるものだという。同社が扱う枕木と併せて、開発品を提案したいとしている。