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 日立金属は、既存の合金材料に比べてアルミニウム(Al)の含有率を高めて比重を小さくした鋳鉄「高アルミニウム含有制振鋳鉄」(以下、新鋳鉄)を「第7回鉄道技術展2021」(幕張メッセ、21年11月24~26日)に参考出展した()。従来の鉄(Fe)-Al合金ではトレードオフの関係にあった引張強度と制振性を両立させた。インフラ設備関連の構造材でのニーズを見込む。

図 既存材料と「高アルミニウム含有制振鋳鉄」の比較
図 既存材料と「高アルミニウム含有制振鋳鉄」の比較
バチで叩いて、材料の響きにくさ(制振性)を比べていた。左から右に向かって制振性が高くなる。(出所:松田千穂)
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 同社は、黒心可鍛鋳鉄(焼きもどしによって、かたまり状の炭素を散在させた可鍛鋳鉄)の製法を用いて、鋳鉄における晶出時のAlの形状制御に成功した。これにより新鋳鉄では、引張強度や伸び率を保ちながら制振性の向上を実現した。最も制振性が高いとされるねずみ鋳鉄よりも高い制振性を得られるという。従来は、Alの形状を保ったまま晶出させるのが難しく、引張強度を上げられないという課題があった。

 同社はさらに、黒心可鍛鋳鉄とは異なる製法も開発。黒心可鍛鋳鉄の製法を用いたもの(図中の右から3番目「新鋳鉄No.1」)に加えて、異なる製法を用いて造ったよりAl含有率の高いもの(図中の同2番目の「新鋳鉄No.2」)をラインアップする。No.1は伸び率が16%と高く、ねずみ鋳鉄からの置き換えで軽量化を図れる。一方のNo.2は、ステンレス鋼比で約35%軽い。常温での伸び率が1~2%と低いものの、1000℃・50時間の耐熱性を備え、高温環境下の使用に向く。

 同社によると、制振性の高い合金としてはマンガン(Mn)をベースとする素材などが使われているが、高価なため用途は限られるという。それに対して新鋳鉄は、材料コストがねずみ鋳鉄やダクタイル鋳鉄とほぼ同等で、構造材への適用が可能。厚さは約25mmまで製造でき、配管部品などにも対応する。同展では制振性を前面に打ち出したが「軽量や耐食・耐熱性といった他の特徴もアピールしながら用途を探りたい」(同社)としている。