米Amazon. com(アマゾン・ドット・コム)のヴァーナー・ボーガスCTO(最高技術責任者)は2021年12月3日(米国時間)、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の年次イベント「AWS re:Invent 2021」に登壇。仮想マシン、インフラ・ネットワーク、開発支援の新たなサービスや機能を発表した。
新しい仮想マシンの1つは「Amazon EC2 M1 Macインスタンス」だ。米AppleのM1チップを搭載したMac miniをベアメタルサーバーとして提供する。「Nitro System」と呼ぶAWSの新型基盤に接続しており、AWSの仮想マシン用標準ディスク「Amazon EBS」から起動できる。ボーガスCTOはEC2 M1 Macインスタンスについて「(iPhoneおよびMacアプリケーションを動作させる際)x86ベースのEC2 Macインスタンスと比べて約60%高いコストパフォーマンスが得られる」と語った。
物理インフラとネットワークを拡充・強化
ボーガスCTOはAWSの物理インフラとネットワークサービスの拡充予定にも言及した。2021年12月3日時点でAWSが世界に展開しているリージョン(広域データセンター群)は25カ所だ。新たにスイスやスペイン、メルボルンなど9カ所を追加する予定だという。ボーガスCTOはこれらのリージョンの利用開始時期について「今後2年で利用可能になる予定だ」と語った。
AWSは2019年に発表した「AWS Local Zones」を拡充する予定だ。Local ZonesはAWSが特定の都市にAWSの物理インフラを設置することにより、その都市のユーザーが低遅延でリソースにアクセスできるようにするサービスだ。現在は米国を中心に展開しているが、インドやドイツ、ギリシャなど新たに30カ所以上増やす。2022年から利用可能にするという。
今や多くのユーザーが生産工場やバックオフィスなど複数の拠点からクラウドに接続している。ボーガスCTOは「非常に多くのユーザーがAWS上に数千、数万ものプライベートクラウドを構築し運用している。それぞれの拠点とクラウドをつなぐコネクションを記した巨大なスプレッドシートを見せてくれたユーザーに実際に会ったこともある。そうしたユーザーの運用を支援できないかと考えた」と語る。
そのための新サービスが「AWS Cloud WAN」だ。ソフトウエアでWANを制御するSD-WANのサービスであり、AWSと多数のオンプレミス(自社所有)環境を横断したグローバルネットワークの構築や運用、監視を支援する。Cloud WANが提供するダッシュボード上でネットワーク全体を管理できるほか、機密性の要件などに応じて切り分けたネットワークのセグメントを一括して管理できる機能も提供するという。