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 実在の人物やその人の動き、位置など空間全体を3次元(3D)データとして丸ごとキャプチャーする「ボリュメトリックキャプチャー」技術への投資や開発が活発化している。国内でも専用スタジオの開設が相次いだ。各社のスタジオの取材を基に、設計思想や技術の違いを探った。

 ここは東京都内某所。記者はボリュメトリック映像のスタジオがある、ソフトバンクの「xRスタジオ」にいる。具体的な場所を明かすことは禁じられている。まさに秘密基地だ。

 取材がてら、自身の3DCG(コンピューターグラフィックス)を作ってみないかと勧められた。記者のDX(デジタルトランスフォーメーション)ならぬ、リアルなデジタル化だ。

 早速、緑の幕(グリーンバック)で囲まれたスタジオに入る(図1)。撮影する人が動ける直径2.5mのキャプチャー空間の周囲には、合計30台の4Kカメラがこちらを向いている。縦方向に2台もしくは3台を取り付けたユニットが間隔を置いて配置されている。カメラの視差から距離情報を取得して人物を背景から切り抜くのに使われているという。

図1 ソフトバンクの「xRスタジオ」にある4Kスタジオ
図1 ソフトバンクの「xRスタジオ」にある4Kスタジオ
4Kカメラ(30fps)が30台配置されている。このほかに2Kカメラ(30fps)を30台配置した2Kスタジオもある。(写真:日経クロステック)
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 撮影が始まった。15秒ほど何かポーズを取ったり演技をしたりしてくれと言われた。残念ながらタレントではないので、とっさに気の利いたポーズをとることはできなかった。

 撮影が終了して5分ほど待つと静止画の3DCGが画面に現れた(図2)。ぐりぐり回して上から下からいろんな角度で自分のアバターを見られる。実写ベースなので、ズボンに寄ったしわなども確認できる。動画の場合、10秒の尺なら約30分でできあがるという。

図2 記者がリアルなアバターに
図2 記者がリアルなアバターに
4Kスタジオで撮影して5分ほど待つと自分の3DCGが画面に現れた。どの角度からも自由な視点で見られる。(写真:日経クロステック)
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 少々気恥ずかしいが、画面を見ているとデジタル化されたもう1人の自分がいるように思えてくる。これで記者もメタバースの世界へ行ける準備ができたのか……。