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 NHK放送技術研究所(技研)は、被写体の周囲を取り囲むように多数のカメラを配置して3次元空間の情報を取得し、リアルな質感を持つ3次元CG(コンピューターグラフィックス)を生成するボリュメトリックキャプチャー技術を独自に開発。同技術を活用した「メタスタジオ」を技研内に設置した。2022年5月26~29日まで開催する「技研公開2022」で一般に公開する。

NHK放送技術研究所が開発したボリュメトリックキャプチャー技術で生成した3次元CG(赤い服を着た女性)を活用した映像の例
NHK放送技術研究所が開発したボリュメトリックキャプチャー技術で生成した3次元CG(赤い服を着た女性)を活用した映像の例
(写真:日経クロステック)
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 ボリュメトリックキャプチャー技術を活用した専用スタジオは、ここ数年内にキヤノン、ソニーグループ、ソフトバンク、NTTドコモなど、国内でも開設が相次いでいる。技研の開発担当者は、「全国の放送局のスタジオに設置することを念頭に開発を進めている。3年以内には制作に使えるようにしたい」と話す。例えば、同技術でタレントなどのリアルな3次元CGをいったん制作しておけば、バーチャルな空間上で共演させたり、通常のカメラでは困難な自由なカメラワークを実現したりするなど、さまざまな演出が可能になる。

 技研が開発したスタジオは、4Kカメラを多数使う上、撮影空間も広いキヤノンやソニーグループのハイエンドのスタジオと比較して、低コスト化を意識したものになっている。具体的には、キヤノンは100台以上、ソニーグループは80台以上の4Kカメラを設置し、キヤノンの場合は撮影範囲は8m角と特に広い。これに対して技研のスタジオは、グリーンバックのドーム型の空間内に直径5m、高さ1mのステージを設けている。撮影範囲は2.5m角だ。4Kカメラは26台(解像度3840×2160画素、60フレーム/秒)で、最大の特徴ともいえるのが、うち24台にロボットカメラを導入した点である。

NHK放送技術研究所内に開設した「メタスタジオ」。ドーム型の空間内に直径5m、高さ1mのステージを設けている。ロボットカメラ24台を含む4Kカメラを26台設置している
NHK放送技術研究所内に開設した「メタスタジオ」。ドーム型の空間内に直径5m、高さ1mのステージを設けている。ロボットカメラ24台を含む4Kカメラを26台設置している
(写真:日経クロステック)
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 2台の固定カメラの映像からAI(人工知能)で被写体を検出し、その情報を元にロボットカメラで被写体の動きを追う。これによって固定カメラの台数を減らしても、比較的広範囲のキャプチャーが可能になるという。カメラの台数を減らせれば、3次元CGのレンダリングに必要なコンピューターリソースも減らせる。