データやエビデンス(根拠)に基づいたサービス提供を目指す「科学的介護」が動き出した。現場の判断を支援し、質の高いケアを実践する目的で、センサーやAI(人工知能)などのICTが介護現場に広がり始めている。2021年4月には「科学的介護情報システム」(Long-term care Information system For Evidence:LIFE、ライフ)の運用が始まり、データ活用の機運が高まる。技術の導入が進む介護現場の現状と将来展望を探る。

(出所:エクサウィザーズ)
データやエビデンス(根拠)に基づいたサービス提供を目指す「科学的介護」が動き出した。現場の判断を支援し、質の高いケアを実践する目的で、センサーやAI(人工知能)などのICTが介護現場に広がり始めている。2021年4月には「科学的介護情報システム」(Long-term care Information system For Evidence:LIFE、ライフ)の運用が始まり、データ活用の機運が高まる。技術の導入が進む介護現場の現状と将来展望を探る。
在宅介護を受けている高齢者の数は、厚生労働省が公表している統計から推定すると、介護施設で暮らす高齢者の2倍以上の約365万人にのぼる。状態の悪化(重度化)をできるだけ遅らせることができれば、高齢者は住み慣れた自分の家での生活を維持できる。
最新の介護の現場では、データ共有ツールやセンサーの活用によって、複雑な判断の一部をICTが支援し始めている。
寝たきりだった高齢者が自分の足で歩けるようになった――。こうした例は、エビデンス(根拠)を重視したリハビリを実践するポラリス(兵庫県宝塚市)の通所介護(デイサービス)施設でよくあることだという。