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(写真:123RF)
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 ITに関連する話題を幅広く取り上げる[IT総合]のランキング。記事のタイトルにさまざまな企業名が踊る中、最も多く登場した企業は「みずほ銀行」や「富士通」ではなく、「野村」と「IBM」だった。2021年は上位20本中、野村ホールディングス(HD)と野村証券が委託先の日本IBMを相手取って損害賠償を求めた「野村-IBM裁判」に関する記事が4本ランクインした。

 2位には野村証券のユーザー部門「X氏」の振る舞いを判決文や裁判資料から明らかにした「逆転敗訴した野村情シスがIBMに送った悲痛なメール、横暴なユーザーを抑えきれず」が入った。ベンダー側に非があるとした2019年3月の一審判決から一転、2021年4月の控訴審判決はユーザー企業側に責任があるとし、東京高裁は逆転敗訴の判決を下した。記事では東京高裁が問題視した「X氏」の振る舞い、それをコントロールできなかった情報システム部門、振り回された日本IBMの構図を浮き彫りにした。

 野村-IBM裁判関連では11位に「野村HDが日本IBMに逆転敗訴のワケ、『工数削減に応じず変更要求を多発』と指摘」、12位に「野村HDが日本IBMに逆転敗訴の深層、裁判所が問題視した『X氏』の横暴な変更要求」、そして19位には野村側が最高裁への上告を取り下げ、野村側敗訴の確定を報じた「野村HDが日本IBMに『敗訴確定』、システム開発の失敗巡る訴訟の上告を取り下げ」がランクイン。19位の記事中、現在は両社とも互いに「将来に向けて良好な関係にある」とコメントしており争いの終結を物語る。

 そんな中、1位にランクインしたのは「日立がPPAP全面禁止へ、『秘文』の添付ファイル自動暗号化ツールも既に販売終了」だった。「PPAP」は暗号化した圧縮ファイルをメールに添付して送った後、2通目のメールでパスワードを送る手順、「パスワード付き暗号化ファイル(P)の後にパスワード(P)を送る暗号化(A)プロトコル(P)」から名付けられた造語だ。IT関係者にとってはもはや、一世を風靡したピコ太郎氏のヒット曲「PPAP(Pen-Pineapple-Apple-Pen)」よりもなじみ深いともいえる用語となった。大手ITベンダーのPPAP全面禁止のインパクトは大きく、多くのベンダーが「脱PPAP」へとかじを切った 関連記事

IT総合のアクセスランキング
期間:2021年1月1日~12月17日
順位タイトル
1位日立がPPAP全面禁止へ、「秘文」の添付ファイル自動暗号化ツールも既に販売終了
2位逆転敗訴した野村情シスがIBMに送った悲痛なメール、横暴なユーザーを抑えきれず
3位GitHub上に三井住友銀の一部コードが流出、「事実だがセキュリティーに影響せず」
4位京大病院がマイナカード保険証利用に「NO」を突き付けたワケ
5位3年で1900億円を溶かしたPayPay、赤字決別の有料化で「持続可能」になれるか
6位「iPhone SE」が激安の一括1円、規制されたスマホ大幅値引きが復活した理由
7位富士通の地域子会社が消滅、幹部社員に冬到来か
8位無線LANがいつの間にか切れるトラブル、担当者の勘が見抜いた予想外の原因
9位Android版COCOAを「無用の長物」にした重大バグ、4カ月以上見過ごされた理由
10位富士通社員が大分県へ続々移住、「首都圏に住む理由がなくなった」
11位野村HDが日本IBMに逆転敗訴のワケ、「工数削減に応じず変更要求を多発」と指摘
12位野村HDが日本IBMに逆転敗訴の深層、裁判所が問題視した「X氏」の横暴な変更要求
13位みずほ銀行「5度目」のシステム障害、原因はDBサーバーのハード故障
14位みずほ銀行窓口業務ストップの真相、DC切り替えをためらい障害が長期化
15位無線LAN経由のインターネット接続が遅くなる、原因はあまりにも想定外の「バグ」
16位東京都が病院にポスターはがしを依頼した真相、ドメイン取引の怖い話
17位無料のExcelでどこまでできる?使って分かったWeb版Officeの実力
18位「格安スマホ」販売を始めるドコモの打算、あきれてしまう本当の狙い
19位野村HDが日本IBMに「敗訴確定」、システム開発の失敗巡る訴訟の上告を取り下げ
20位COCOA不具合放置の遠因か、開発ベンダー選定で繰り返された「丸投げ」の実態