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バッテリーは1000回の充放電で死ぬ?

 macOSのシステム情報の「電源」項目には「充放電回数」という項目がある。アップルのノートパソコンを買い取りショップなどに持ち込むと、この充放電回数は必ずチェックされるようだ。劣化レベルの1つの目安にするのだろう。当然、回数(サイクル)が少ないほうが有利になる。

macOSのシステム情報の「電源」項目に充放電回数が記録されている。近年のMacBook Proでは1000回が上限
macOSのシステム情報の「電源」項目に充放電回数が記録されている。近年のMacBook Proでは1000回が上限
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 この充放電回数のカウント方法は少しややこしくて、バッテリー容量に対する充電電力の総和で決まる。例えば、14インチのMacBook Pro 2021の場合70Whのバッテリー容量を持つが、50%の35Whを消費した後充電して100%にしても、それは1サイクルにはカウントされない。

 仮に次の日、25%に当たる17.5Whを使った後、100%に戻してもやはり1サイクルにはカウントされない。その状態だと充電電力の総和が52.5Whにとどまっているからだ。その次の日に25%に当たる17.5Whを使った後、100%充電した時点で初めて総和が70Whになり、1サイクルとカウントされる仕組みだ。

 充放電回数が増えるとバッテリーは劣化するので、当然ながら上限がある。例えば、2009年以降のMacBook Proの場合1000サイクルと公表されている。1000サイクルに達したら劣化が進行して使い物にならなくなるということだろうか。アップルのサイトには「決まった上限を超えると、バッテリーは消耗したとみなされます」とファジーに表現されている。

 そして、この充放電回数と関係する考え方に「放電深度」がある。深度というくらいなので、100%からどの程度まで使い切ってから再度充電するのか、という話だ。例えば、100%→0%→100%と放充電すると、放電深度100%で1サイクルとなる。しかし、80%→20%→80%という使い方をすると放電深度60%ということになり、0.6サイクルとなる。

 先に、100%充電で使用するより上限を80%として、こまめに継ぎ足し充電を繰り返すほうが劣化が進みにくいといった趣旨のことを述べたが、これが放電深度の考え方で、深度はなるべく浅くしながら80%までの継ぎ足し充電を実施するというのが長持ちの秘訣なのだろう。

 とはいえ、実際に日々利用していると、そうそう都合よく80%→20%→80%などという使い方がいつもできるとは限らない。本当にバッテリーの寿命というのは、考えれば考えるほどやっかいな話である。それゆえOS側でインテリジェントに管理してくれるのはありがたいし、さらなる進化を期待する。