TeslaのバッテリーもiPhoneと同じ要領で管理
リチウムイオンバッテリーの寿命というのは、大容量バッテリーを搭載したEV(電気自動車)でも、ユーザー視点における劣化防止の考え方は同様だ。EVのTesla Model 3には、手動でバッテリーの充電制限を設定する劣化防止の仕組みがある。
筆者の場合、写真にもあるように普段は80%程度を充電の上限に設定し、帰宅したらすぐに充電ケーブルを挿して、電気代が安価な夜中に継ぎ足し充電しながら利用している。100%充電するのは遠出をするときだけだ。
筆者のModel 3(ロングレンジグレード)は、容量75kWhのバッテリーを搭載しているらしいので、満充電時には14インチMacBook Proの1000倍以上の電力量を蓄えている計算になる。これで額面の航続距離は580km。ただ、実際には好条件下でも530〜540kmといったところだ。「らしい」としたのは、テスラは容量を正式に公表していないからだ。
ちなみに、テスラが公開している「2020インパクトレポート」では、「Model S/Xの走行距離あたりバッテリー容量維持率」という項目において過去の実績データから、20万マイル(約32万km)走行後も約90%の容量を維持していると明言している。
話が長くなるので詳細は述べないが、同じModel 3でも「スタンドレンジプラス」というグレードは、リチウムイオンバッテリーの中でも「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」という種類を搭載しているため、「通常でも100%を維持しなさい」といった趣旨の文言がマニュアルに記載されている。
ここでもリテラシーが要求されるのだ。ガソリン車からEVに乗り換えたのだから当然ではあるが、クルマ生活においてまで、リチウムイオンバッテリーの劣化に気を遣うことになるとは思わなかった。
ITジャーナリスト