カインズやワークマン、ベイシアらを束ねる流通の巨人、ベイシアグループ。2021年2月期に初めて売上高1兆円を突破。さらなる高みを目指し力を注ぐのがDX(デジタルトランスフォーメーション)だ。グループ各社をとがらせる「ハリネズミ経営」を標榜し、DX戦略の舵(かじ)取りを担うプロCDO(最高デジタル責任者)らを相次ぎ招き入れている。業界きっての改革派と知られる土屋裕雅氏(カインズ会長であり、実質的なグループトップ)が業績拡大の裏で虎視眈々(たんたん)と進めてきたDXへの足場作り――。土屋流DXの実態に迫った。

流通DXのトップランナー、ベイシアグループの全貌
目次
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「給与は青天井」、ベイシアグループが研究組織AI Labを設ける狙い
流通DXのトップランナー、ベイシアグループの全貌(5)
2021年1月、ベイシアグループにひっそりと新会社が立ち上がった。その名は「ベイシアグループ総研」。プレスリリースは出ておらず、一般消費者はおろかベイシアグループの社員であってもその存在を知る人は少ないという――。
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やる気ある社員が昇格する、ワークマン「4階層のデータ分析体制」
流通DXのトップランナー、ベイシアグループの全貌(4)
ワークマンは2015年3月期から2021年3月期で既存店平均年商を9489万円から1億6025万円に6年連続で伸ばし続け、チェーン店舗の契約更新率は99%(定年退職を除く)を誇る。土屋哲雄専務はその背景の1つとしてデータを活用した店舗支援を挙げ、「100年続く競争優位を築くため、普通の社員がデータ…
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ゲリラ販促でマグロの売り上げ25倍、ベイシア「IT内製部隊」の威力
流通DXのトップランナー、ベイシアグループの全貌(3)
ホームセンターのカインズが「積極的な長男」であれば、スーパーのベイシアは「控えめな次男」。メディア露出が多いカインズに比べ、どちらかというと控えめとされていたベイシアはグループの中でこう呼ばれることがある。ただその同社は今、デジタル技術を駆使した施策で劇的に変わりつつある。
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「DXの改善要望を2時間で実装」、カインズが430人に拡充するデジタル部隊の実力
流通DXのトップランナー、ベイシアグループの全貌(2)
ベイシアグループにおいて最大の売り上げを誇り、DX(デジタルトランスフォーメーション)の筆頭でもあるカインズ。ホームセンター事業を手掛ける同社は、SPA(製造小売り)化やIT小売業への変貌など、時代の流れに合わせてグループの先陣を切って変革を続けてきた。同社会長であり、ベイシアグループ全体の舵(か…
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エンジニア大量採用でDXを加速、ベイシアグループの「ハリネズミ経営」
流通DXのトップランナー、ベイシアグループの全貌(1)
ベイシアグループ企業のお知らせページや会員向けアプリ上にはデジタル関連の新サービス開始や機能追加のお知らせが続々と並ぶ。これはベイシアグループがここ数年で力を注いできたデジタル戦略の賜物(たまもの)といえる。ITエンジニアを大量に採用し、システム開発の内製組織を立ち上げ、デジタル戦略の「内製化」を…