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2008年に日本で生まれ、既存のシリコン(Si)系太陽電池を超える可能性があるペロブスカイト太陽電池(PSC)の実用化がいよいよ始まった。量産第1号は日本の旅行会社H.I.S.が育成したポーランドのベンチャー企業だった。最初の開発から12年での量産開始は他の太陽電池技術にない速さだ。大面積モジュールの性能面では、東芝やパナソニックなど日本の企業がリードしているが、量産の時期や量産規模などでは中国企業に先を越されそうだ。

 2021年秋、ペロブスカイト太陽電池(PSC)の量産が始まり、現在世界の再生可能エネルギーをけん引する結晶シリコン(Si)太陽電池の後継者として大きく名乗りを上げた。

結晶Siを超えて化合物系に迫る

 PSCは2008年に桐蔭横浜大学で初めて開発された後、研究開発が急速に進み、結晶Si太陽電池が約60年かかってたどり着いた変換効率25%をまだ数mm角の小セルとはいえ、10年あまりで達成してしまった(図1)。しかも、結晶Si太陽電池に追いついて終わりではなく、さらにその先もみえてきた。

図1 セル変換効率は単接合で25%超、Si系とのタンデムではほぼ30%に
図1 セル変換効率は単接合で25%超、Si系とのタンデムではほぼ30%に
ペロブスカイト太陽電池の単接合の小セル(赤丸)と結晶Si太陽電池とのタンデムセル(水色または青色の丸)の変換効率の推移。単接合セルは2016年以降、効率が23%台で3年ほど足踏みしたが、2019年半ばから再び上昇をし始め、2021年には25%台の成果が各研究機関から相次いでいる。現在の最高値は韓国Ulsan Nationa Institute of Science and Technology (UNIST)が開発したセルの25.8%(ただし第三者機関の認定は未取得)だ。結晶Si太陽電池とのタンデムセルは2019年に結晶Si太陽電池の最高効率を超えた。現在、4端子型では既に30.08%と“大台”にのり、2端子型でも29.8%と30%台が目前になっている。(図:日経クロステック、写真:各組織)
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