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 2022年1月にNTTコミュニケーションズとNTTコムウェアを子会社化して誕生した新生NTTドコモグループ。2022年7月にはグループ内の法人事業やコンシューマー向け事業を集約するなど事業再編の第2弾を実施する予定だ。「2025年度収益の過半(50%超)を法人事業と(非通信事業に当たる)スマートライフ事業で創出する」(NTTドコモの井伊基之社長)など、野心的な計画を掲げる同グループの本格攻勢がいよいよ始まろうとしている。

 だが、目標達成への道のりは相当に険しそうだ。大きな懸念の1つは、法人事業と並ぶ成長の柱とNTTドコモが期待しているスマートライフ事業である。

 同社はスマートライフ事業の注力分野として「金融・決済」「映像・エンタメ」「電力」「メディカル」「XR」の5つを挙げる。ところが各市場には既にグローバル競争を勝ち抜いてきた猛者がひしめいている。動画配信の米Netflix(ネットフリックス)や音楽配信の米Spotify(スポティファイ)、SNS(交流サイト)大手の米Meta Platforms(メタプラットフォームズ、旧フェイスブック)……。多くの「テクノロジー企業」が優れたサービスを開発し世界をリードしてきた。

 NTTドコモがこうしたライバルと伍(ご)していくには、自らもテクノロジー企業となって魅力あるサービスを提供し続ける必要がある。その鍵を握るのはソフトウエアの内製化や開発スピードの向上だ。こうした背景から社内外の注目を集めているのが、グループ全体のソフト開発を主導するNTTコムウェアの実力だ。

アジャイル開発の人材を急速に拡充

 旧NTTの情報システム部門が分離独立して1997年に誕生したNTTコムウェア。NTTグループでは基幹系のいわゆる「SoR(System of Record)」のシステム開発を手掛けてきたが、実はもう1つの顔がある。開発とリリースのサイクルを短期間で繰り返す手法「アジャイル開発」に長じた人材を急速に増やしているのだ。顧客との接点を担い激しい変化を伴う「SoE(System of Engagement)」のシステム開発需要に応えるためだ。

 NTTコムウェアが社内有志を集めてアジャイル開発チームを組織化したのは2016年ごろ。まずはアジャイル開発手法の経験を積むため、ドローンを使った通信設備や社会インフラの保守点検業務を支えるシステムの試作に挑んだ。その開発成果は自社商材「スマートメンテナンスソリューション」(2018年11月発表)につながった。NTTドコモが手掛ける産業用ドローンビジネスにも活用されている。

 さらに、植物工場事業を手掛けるスプレッド(京都市)の栽培管理システムを共同開発するプロジェクトにアジャイル開発手法を導入。2019年には会社全体にアジャイル開発の知見やノウハウを広げる取り組みも本格化した。アジャイル開発人材の育成研修プログラムや独自のスキル認定制度を新設したほか、品川シーサイドのオフィスにアジャイル開発拠点「COMWARE TO SPACE」も立ち上げた。

東京・品川にあるNTTコムウェアのアジャイル開発拠点「COMWARE TO SPACE」
東京・品川にあるNTTコムウェアのアジャイル開発拠点「COMWARE TO SPACE」
(出所:日経クロステック、以下同)
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