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 日経クロステックは5人の有識者を招き「ITインフラテクノロジーAWARD 2022」を選出した。5人による選考会で議論した内容から、2022年に注目すべきITインフラ技術を示す。第1位の「ビヨンドオーケストレーション」に次ぐ第2位に選出したのは「プライバシーコントロール」だ。

左から石田裕三氏(野村総合研究所 産業ITグローバル事業推進部 上級アプリケーションエンジニア)、漆原 茂氏(ウルシステムズ代表取締役社長/アークウェイ代表取締役社長)、佐藤一郎氏(国立情報学研究所 情報社会相関研究系 教授)、新野淳一氏(Publickey 編集長/Blogger in Chief)、森 正弥氏(デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員)(写真:陶山 勉)
左から石田裕三氏(野村総合研究所 産業ITグローバル事業推進部 上級アプリケーションエンジニア)、漆原 茂氏(ウルシステムズ代表取締役社長/アークウェイ代表取締役社長)、佐藤一郎氏(国立情報学研究所 情報社会相関研究系 教授)、新野淳一氏(Publickey 編集長/Blogger in Chief)、森 正弥氏(デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員)(写真:陶山 勉)
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 プライバシーコントロールとは、ITシステムを利用するユーザーのプライバシーを守る仕組みやその周辺技術を総称したものである。2022年にはCookieによるトラッキング(追跡)ができなくなり、「Webコンテンツに関わる開発者は影響を受ける可能性が高い」(国立情報学研究所の佐藤一郎 情報社会相関研究系 教授)。

 例えばWebサイトに表示する広告などはCookieの情報を基に、ユーザーが購入しそうな商品広告などを選択している。こうしたCookieの利用は今後制限される可能性が高い。事実、GDPR(EU一般データ保護規則)もCookieの取得や個人情報の収集の際には、利用目的を提示して許諾を得なければならないと定めている。Webサイトを閲覧すると、Cookieの利用許諾を求めるダイアログボックスが表示されるサイトが多いのは、これが理由だ。

 しかしユーザーに合わせてWeb広告を表示したいという要望は多い。そこで各社が新しいトラッキングの仕組みを模索し始めた。例えば米Google(グーグル)は類似するWebサイトにアクセスしているユーザーをグループ化し、そのグループをトラッキングする「プライバシーサンドボックス」を提唱している。

 デロイト トーマツ コンサルティングの森 正弥 執行役員は「プライバシー保護の観点で注目したい機械学習の技術がFederated Learning(連合学習)である」と説明する。連合学習はデータを共有せずに機械学習を実施する手法。事実、プライバシーサンドボックスにはFederated Learningが使われている。