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日本政府は2020年1月に「量子技術イノベーション戦略」を決定しました。量子技術を、日本が飛躍的に発展するための革新技術として位置付け、国を挙げて取り組む方針を定めたものです。
2021年2月にはこれに基づき「量子技術イノベーション拠点」と名付けた一群の研究開発拠点を発足させました。理化学研究所に設けた中核組織の下、8つの拠点それぞれに特定の分野を割り振り、大学や企業の間の連携体制を構築していく計画です。川崎市に量子コンピューターを設置した東京大学の協議会も、その拠点の1つとして「量子コンピューター利活用」を推進する役割を担っています。国の戦略では上記拠点の整備に加えて、国直轄の大規模プロジェクトや研究開発の助成、人材育成の支援なども盛り込みました。
日本独自の量子コンピューターの開発にも取り組みます。2021年2月に始動した「ムーンショット型研究開発制度」の目標の1つとして、「誤り耐性型汎用量子コンピューター」の開発を掲げました。実用に堪える超高性能の量子コンピューターを、日本の英知を結集して作り上げようというのです。
政府は量子技術に投じる国家予算も拡大しています。2019年度の関連予算が約160億円だったのに対し、量子技術イノベーション戦略の策定後には、同年度の補正予算と2020年度予算を合わせて約330億円を確保。さらに1年後は、2020年度の補正予算と2021年度の予算で合計約352億円を計上しました。