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米ボストン コンサルティング グループの市場予測では、2040年以降の量子コンピューターの市場を用途別に整理しています1)。大きな分類として、同社は「暗号」「最適化」「機械学習」「シミュレーション」の4つを挙げました。いずれも既に有望なアルゴリズムが見つかっている用途です。
それぞれの分類に含まれる応用例は実に多彩です。次の図では、ボストン コンサルティングが指摘した用途を、業界別に色分けしてみました。航空宇宙や金融、物流や自動車、化学、エネルギー、製薬など、バラエティー豊かな産業に恩恵があることが分かります。4つの用途で使われるアルゴリズム自体は汎用的であり、図に描かれたものの他にも、いくつもの応用を見つけていくはずです。
しかもこれらは序の口にすぎません。量子コンピューターはまだまだ生まれたてホヤホヤです。逆にいえば成長とともに見えてくる使い道が必ずあるはずです。既存のコンピューターもそうでした。科学技術計算やオフィスのデータ処理が中心だった初期のコンピューターの開発者たちにとって、普段から持ち歩き、写真の撮影から音楽や動画の再生、SNSへの投稿にゲームなどまで楽しめるスマートフォンの姿は想定外だったでしょう。
参考文献1) J-F. Bobier et al., "What Happens When ‘If’ Turns to ‘When’ in Quantum Computing?," Boston Consulting Group, Jul. 21, 2021.