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運用部門の分割新会社と密に連携し、顧客の多様なIT環境を包括支援する体制を築くと語る日本IBMの山口明夫社長。受託開発が主体のSIから、顧客と共同での事業変革へと事業構造も見直す。社長直轄の部隊を新設し、日本政府のデジタル化を支援すると意気込む。

(聞き手は浅川 直輝=日経コンピュータ編集長、貴島 逸斗=日経クロステック/日経コンピュータ)

山口 明夫(やまぐち・あきお)氏
山口 明夫(やまぐち・あきお)氏
1987年大阪工業大学工学部卒、同年日本IBM入社。取締役専務執行役員グローバル・ビジネス・サービス事業本部本部長などを経て、2019年5月から現職。2017年7月から、米国本社の経営執行メンバー(Performance Team)にも名を連ねている。1964年生まれ。和歌山県出身。(写真:村田 和聡)
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2021年はキンドリルジャパンの分社が大きな話題となりました。

 はい、新型コロナウイルスへの対応や新たなデリバリー(サービス提供)モデルのベースづくりなどと合わせて、変革にチャレンジした1年でした。

 一方で2021年は社会にDXが浸透して「なぜDXが必要なのか」「そもそもDXとは何か」を考えるフェーズから一歩踏み込んで、「どうやってDXに取り組むか」を考えるようになったと感じています。

DX推進へ「共創モデル」構築

2022年に注力する分野を教えてください。

 顧客のDXを支援するために、従来のデリバリーモデルから、顧客の中に入り一緒に変革していく「共創パートナーシップモデル」へと変革している最中です。例えば先日発表したNECや富士通などのパートナーと協力してエコシステムを構築しています。

 量子コンピューターやAI(人工知能)などのテクノロジーへの投資も、変わらず続けていく予定です。既に2021年7月には神奈川県川崎市に量子コンピューターを設置しました。

 量子コンピューターを使えるエンジニアの育成を目的にインターンシップを開催すると定員を超える応募がきます。量子コンピューターを使いこなして社会で貢献したいと考えている方々が想像以上に多く、将来は明るいと思っています。

海外と日本で、企業におけるDXの進め方に違いはありますか。

 共創パートナーシップモデルが今後は極めて重要になると私は社員に言っています。これまでのSI(システムインテグレーション)やアウトソーシングなどのデリバリーモデルの必要な部分は継続しつつ、顧客の内製化を支援する必要があります。今ではIT部門以外の事業部門もテクノロジーを活用していますから、これを支援するエンジニアやコンサルタント、データサイエンティストがどんどん必要になります。今後顧客のDXを支援するために、顧客と一緒にモノをつくって事業を変革するモデルへの切り替えフェーズに入っていくと考えています。