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 2022年、SDGsの一環で脱炭素社会へ変化しようとする動きが加速し、脱炭素にはITが特に大きく寄与することが常識として認識されるようになる。

 脱炭素の動向に詳しいIDC Japanの村西明ITスペンディンググループマネージャーは「ITが脱炭素に寄与する範囲は広く、大きく2つに分けられる」と話す。1つはIT機器を使ううえでの脱炭素である。もう1つはITを手段として使って、無駄やムラをなくし、炭素由来のエネルギーや素材を使う量を減らしていこうとする動きである。

 前者は、消費電力が少ないサーバーやネットワーク機器を選んだり、同じ電力でも再生可能エネルギーを積極的に使ったりする施策が該当する。自社で機器を抱えるオンプレミスをやめ、電力の利用効率が高いデータセンターを利用したりクラウドサービスに移行したりする動きも当てはまる。

 特に最近ではデータセンターの電力利用効率をさらに高める技術革新が進んでいる。KDDIと三菱重工業、NECネッツエスアイが2021年6月から進めている実証実験がそれだ。「液浸冷却技術」と呼ぶ仕組みを採用しており、熱を発するサーバー機器を特殊な液体を用いて効率よく冷却する。データセンターの電力利用効率を表す指標で、データセンターの使用電力をIT機器分だけの使用電力で割った数値であるPUE(パワー・ユーセッジ・エフェクティブネス)は1.1以下を目指している。

 日本データセンター協会によると、PUEは年々下がってきているが、最近建設されたデータセンターのPUEは1.5ほどが多いという。KDDIらの技術はこの値をさらに下げそうだ。

電力調整や配送でIT大活躍

 後者の動きも活発だ。例えばNECが2021年10月7日に発表した「リソースアグリゲーション事業」への参入はその1つだ。具体的には、太陽光発電や蓄電設備などを仮想的に統合し、電力の需要と供給を調整するクラウドサービスを提供する。現状では電力不足が起こらないように火力発電で供給側を調整しているが、同クラウドサービスを使うとその必要性が下がる。結果として、石油や石炭など炭素由来のエネルギーの消費量が減るわけだ。