米AMD(Advanced Micro Devices)は、テクノロジー見本市「CES 2022」に合わせてオンラインの新製品発表イベント「2022 Product Premiere」を2022年1月4日(現地時間)に開催した。ノートPC向けMPU(Micro Processing Unit)「Ryzen 6000シリーズMobileプロセッサー」(以下、Ryzen 6000 Mobile)や、L3キャッシュを物理的に縦積みしたデスクトップPC向けMPU「Ryzen 7 5800X3D Desktopプロセッサー」などを発表した ニュースリリース 。なお、このイベントでは、GPU(Graphical Processing Unit)「Radeon」の新製品も発表されたが、別記事として後日掲載する。
AMDのオンラインイベントにトップバッターとして登場した同社President and CEOのLisa Su氏は、Ryzen 6000 Mobileを掲げた後で、その特徴を3つ挙げた。[1]CPUコア「Zen 3+」を集積していること、[2]RDNA 2アーキテクチャーのGPUコアを集積していること、[3]台湾TSMC(台湾積体電路製造)の6nm世代の半導体プロセスで製造することである。いずれも同社のノートPC向けMPUでは初めて。前回の「CES 2021」で発表した前世代品の「Ryzen 5000 Mobile」*1は、Zen 3コアとVegaアーキテクチャーのGPUコアを集積し、TSMCの7nm世代の半導体プロセスで製造されていた。
関連記事 *1 AMD、Zen 3コアのノートPC用MPU「Ryzen 5000モバイル」新たなCPUコアとGPUコア、製造プロセスの採用で、Ryzen 6000 MobileはRyzen 5000 Mobileに比べて演算処理速度が最大1.3倍、グラフィックス処理速度が最大2.1倍になったという。ブースト時のCPUコアの動作周波数は最大5GHzで、今回のCES 2022において競合の米Intel(インテル)が発表したノートPC向けMPU「第12世代CoreプロセッサーHシリーズ」*2のそれと同じである。また、Ryzen 6000 MobileはRyzen 5000 Mobileに比べて、シングルスレッド性能が最大11%、マルチスレッド性能が最大28%向上したという。
関連記事 *2 AppleのM1 Maxを超えた IntelがノートPC向け第12世代CoreSu氏によれば、6nm世代プロセスでの製造や、新たな消費電力低減技術の導入によって、Ryzen 6000 MobileはRyzen 5000 Mobileに比べて、ビデオ会議で使用する電力を最大30%削減した。Ryzen 6000 Mobileを搭載したノートPCは、1回の充電で最大24時間にわたって動画を再生できるという。同氏は「2種類のCPUコアを使わなくても、我々は1種類のコアで24時間稼働のPCを実現できる」とし、第12世代Coreプロセッサーの特徴である2種類のコアを組み合わせる“ハイブリッド・アーキテクチャー”を皮肉った。
さらにSu氏はIntelとの差をアピールした。米Microsoft(MS、マイクロソフト)が20年11月に発表したセキュリティープロセッサー「Pluton」 ニュースリリース を、Ryzen 6000 MobileがPC向けMPUとして初めて搭載したことを訴えた。Plutonの開発にはAMDやIntel、米Qualcomm Technologies(クアルコムテクノロジーズ)らが協力しているが、x86プロセッサーへの搭載に関してはAMDがIntelに先行した。