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 韓国サムスンディスプレイ(Samsung Display)のQD-OLED(青の有機EL発光と量子ドットフィルターで赤緑変換)が、これまで全世界のテレビメーカーの有機ELテレビを担っていた韓国LGディスプレイ(LG Display)の白色有機ELパネルに挑戦状を叩き付けた。受けて立つ格好となったLGディスプレイは、昨年の発表会(2021年12月29日にソウル市のLGサイエンスパークで開催)で明らかにした新パネル戦略が迎え撃つ軸となる。同パネルはCES 2022のLGディスプレイ特設サイトでも発表された。

LGディスプレイが新開発した97型有機ELディスプレイー
LGディスプレイが新開発した97型有機ELディスプレイー
(出所:LGディスプレイの特設サイト)
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CES 2022のLGディスプレイ特設サイトから
CES 2022のLGディスプレイ特設サイトから
(出所:LGディスプレイ)
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 それが「OLED.EX」。EXとは「Evolution」(進化)と「eXperience」(体験)の頭文字だ。これには、白色パネルを高性能化させ、これまで採用していたテレビメーカーに新しいベネフィットを与えるという狙いと、サムスンのQD-OLEDに対抗するという、2つの狙いがある。

2021年12月29日にソウル市のLGサイエンスパークで開催されたLGディスプレイの新パネル「OLED.EX」発表会。左は大型事業部長の呉彰浩(Chang-Ho Oh)氏。
2021年12月29日にソウル市のLGサイエンスパークで開催されたLGディスプレイの新パネル「OLED.EX」発表会。左は大型事業部長の呉彰浩(Chang-Ho Oh)氏。
(出所:LGディスプレイ)。
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 白色パネルの進化の方向はずばり、輝度の向上だ。HDR時代になり、高輝度が要求されても、自発光の身としては、むやみに電流を投入するわけにはいかない。リミッターがかかり、低めの数百nitsの平均輝度で抑えられていた。その限界をいかに乗り越えるかが、ここ数年の白色有機ELパネルの課題であった。

 「白色」とはいうものの、世の中に「白色発光素子」は存在しない。白はRGBから作成しなければならない。RとGとBのレイヤーを重ね、それらを発光させ、透過させると、RGBの色光が合成され、白色が得られるのである。つまりRGBのレイヤーを重ねて白色をつくり、さらにカラーフィルターで、フルカラーにするという面倒なやり方を採ったのは、これまで有機ELの大型パネルは唯一、この方法しか製造できなかったからだ。

 2021年は、白色パネルの進化の前哨戦とも言える、レイヤー変更がハイエンドパネルに追加された。それを採用したLGエレクトロニクスが与えたブランドは「evoパネル」。これまでのR、YG、BレイヤーにGを追加し、その成果として、R、Bの波長のサイドバンドを減少させることに成功した。サイドバンドは望みの波長の横に生じる副産物で、このレベルが小さければ小さいほど純粋な色が得られ、発光効率も向上する。その結果、輝度は従来の標準パネルに対し2割ほど向上した。このevoパネルはLGエレクトロニクスとシャープの2021年モデルに搭載された。

LGエレクトロニクスのevoパネル。42、97インチの新パネルも登場
LGエレクトロニクスのevoパネル。42、97インチの新パネルも登場
(出所:LGエレクトロニクスのプレスカンファレンス)
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