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 具体的に、どうデバイスを使いこなすのか。ミニLEDバックライトを採用したZ9Kシリーズ(8K)、X95Kシリーズ(4K)で何をやったのか。ポイントはバックライトの分割駆動をいかに賢く行うかだ。分割駆動とは、エリアを分割し明るい部分は強く発光、暗い部分は弱く発光することで、液晶の弱点のコントラスト不足を補う手法だ。LEDサイズが小さくなればその分、多数のLEDを敷き詰められるし、分割数も増やせる、つまりコントラスト性能は向上するはず。でも小倉氏は「バックライトを分割駆動するだけでは、画質は向上しません。分割数では決まらず、アルゴリズムが非常に重要なのです」と喝破する。

 その1例が、ブルーミング(輪郭のまわりに光が出る現象。「ハロー効果」とも言う)をいかに抑制するかという課題だ。黒バックに明るい被写体があるといった、非常にコントラストの高い映像の場合、明るいオブジェクトの回りに後光のような、ぼんやりとしたオーラ光が放散する。ミニLEDではその発生頻度が高くなる。それをどうマネージするかは、ミニLEDの液晶パネルを使いこなす上でのキーポイントだ。

 そこで大変役立ったのが、2016年に当時の液晶テレビで手掛けたバックライト技術「バックライトマスタードライブ」。他社がピーク輝度1000nitsをようやく出したところに、ソニーは4倍近い輝度を実現したことで 、大きな話題になった。

 「2016年にマスタードライブを開発したとき、ブルーミングが問題になり、発光と制御の関係がとても難しいことが分かりました。それから営々と、どのように乗り越えるのか、そのノウハウを蓄積してきました。それを今回のミニLEDに持ち込みました。ここではXRプロセッサーが緻密に制御します」(ソニーの小倉氏)

 具体的に、ブルーミングにはどう対応するのだろう。小倉氏は「エッジの光り方をうまく加減するのです。下手に光らせないと、逆に隣から漏れこんで、ブルーミングになります。そこをどのように見せるといいのか。絵柄によってバックライトコントロールの仕方を極めて繊細に変えています」と明かす。

 なるほど。こうした経験とノウハウがないと、多種多様のディスプレーデバイスは使いこなせない。誰でもできる技ではない。