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 2年ぶりのリアル開催を実現させた、世界最大のテクノロジー見本市「CES 2022」(2022年1月5~7日、主催:全米民生技術協会)。新型コロナウイルスのオミクロン株の感染急拡大が熱気に影を差した感もあるが、数多くの新技術や新サービスが披露され、「先端技術のショーケース」としての面目は保った。CES総括の後半では、自動車分野以外の見どころをまとめた。

 これまで全世界のテレビメーカーのほとんどが有機ELテレビに韓国LG Display(LGディスプレイ)製の白色有機EL(OLED)パネルを採用していたが、今後は状況が変わりそうだ。韓国サムスンディスプレイ(Samsung Display)が、新有機ELパネル「QD-OLED」をCES 2022でデビューさせ、LGディスプレイに挑戦状を叩きつけた。

リンク: https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01911/00030/

 既に親会社のSamsung Electronics(サムスン電子)とソニーグループが採用に踏み切った。ソニー製品はCESの会場でお披露目された。

サムスンディスプレイの「QD-OLED」を採用したソニーのテレビ
サムスンディスプレイの「QD-OLED」を採用したソニーのテレビ
65型、55型のQD-OLEDテレビを「A95Kシリーズ」として展開する。ソニーでは「new OLED」として紹介している。(出所:ソニー)
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 サムスンディスプレイは、スマホなどの小型有機ELパネルでは強いが、これまでテレビ向けの大型有機ELパネルからは撤退していた。12年にサムスン電子は、RGB発光で55型のフルHDのテレビを発表したが、後に量産での製造が不可能と判断したためだ。一方、LGディスプレイはパネル全体を1色でシンプルに蒸着し、それらをレイヤーにして何層も重ねる方式を開発した。このようにRGBのレイヤーを重ねて白色をつくり、さらにカラーフィルターで、フルカラーに分解するという面倒なやり方を採ったのは、これまで有機ELの大型パネルは唯一、この方法でしか製造できなかったからだ。

 その後、サムスンディスプレイは大型有機ELパネルからは手を引き、液晶のカラーフィルターを量子ドット(QD)に替えた「QLED」液晶テレビを推進してきた。構造は青のLEDバックライトにQDシートをかぶせたものだ。

 QLEDで液晶ばかり手掛けてきたサムスンディスプレイだが、LGディスプレイの白色有機ELパネルが、世界の市場で伸びているのを見て、次世代はやはり自発光の有機ELが来ると確信した。RGBのサブピクセル個別発光で、大画面の製造が可能な方策を探り、液晶テレビのQLEDと同じ構造で有機ELパネルを形成するQD-OLEDにたどり着いた。青の有機ELパネルを発光させ、青はそのまま通し、量子ドットフィルターにより緑と赤を生成し、サブピクセル単位ではRGB発光をする。