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 Web会議の快適さは映像よりも音声によって左右される。できる限り、聞き取りやすい声で会話したいところだ。しかし、そんなときに気になるのが誰かのキーボードの打鍵音。話者の声をかき消してしまうことがある。

 とはいえ、議事録を作成したりメモを取ったりするときにはタイピングしなければならないこともある。筆者もコロナ禍でWeb会議で取材をする機会が増え、話しながらずっとタイピングしている。そんなときでも、会議の邪魔にならないように打鍵音を抑えるにはどうしたらよいか。ここでは、静音性を売りにしたPFUの高級キーボード「HHKB Professional HYBRID Type-S」と、打鍵音を抑えるのに役立つTipsを紹介しよう。

PFU「HHKB Professional HYBRID Type-S」の墨モデル。直販サイトの価格は3万5200円(税込み)
PFU「HHKB Professional HYBRID Type-S」の墨モデル。直販サイトの価格は3万5200円(税込み)
(出所:PFU)
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会議中でも静かに高速入力できる

 Web会議中にタイピングするなら、そもそも打鍵音が静かなキーボードのほうがノイズが小さくて済む。そこでオススメしたいのが、HHKB Professional HYBRID Type-Sである。先に価格を言うと、3万5200円(税込み、以下同じ)となっている。なんでこんなに高いのか、と思う人もいるだろう。

 HHKBはHappy Hacking KeyBoardの略で、東京大学の和田英一名誉教授とPFU研究所との共同研究によって生まれたキーボードだ。極限までキーの数を減らしているのが特徴で、初号機は1996年に発売された。マニアックな製品ではあるが、国内だけでなくグローバルでも販売されており、2021年までに累計60万台を出荷している。

 年々進化を重ね、2019年に集大成となる「HHKB Professional HYBRID」シリーズがリリースされた。HHKBは3グレード用意されていて、ハイエンドの「Type-S」が静音タイプ。キーを押したときの“カチャカチャ”という音が静かなのだ。通常タイプのHHKBと比べると30%静かになっているという。

 使ってみると、通常タイプはちょっと高音が耳に付き、音も大きい。一方、Type-Sはカチャカチャというより“スコスコ”という感じであまり気にならない。しかも音は小さくなっている。

HHKB Professional HYBRID Type-Sの雪モデルを使っているところ。雪モデルは2021年10月に数量限定で発売され、直販サイトではすでに完売になっている
HHKB Professional HYBRID Type-Sの雪モデルを使っているところ。雪モデルは2021年10月に数量限定で発売され、直販サイトではすでに完売になっている
(写真は筆者撮影、以下同じ)
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 HHKBを使うと、入力中でも肩の位置がほとんど動かない。ブラインドタッチができれば、相手に入力していることを気付かれないこともある。

普通に話を聞いているように見えるが、画面下では高速タイピング中だ
普通に話を聞いているように見えるが、画面下では高速タイピング中だ
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 静音性以外にも、HHKBは優位な点がある。高速入力しやすい点と疲れにくい点だ。そのため、キーをたくさん打つプログラマーやブロガー、ライターに人気だ。

 最大の特徴であるキー配列を見れば分かるが、キーが5列しかない。一般的なキーボードだと最上段にファンクションキーが並ぶが、HHKBでは「Fn」キーと数字キーを組み合わせて入力するようになっている。そのおかげで、手をホームポジションからほとんど動かさずにタイピングできる。その分、高速入力が可能になる。

 パソコンの操作をキーボードからマウスに切り替えるとき、テンキー付きのフルサイズキーボードだと、腕を右に大きく動かすことになる。この動きを毎日長時間行っていると腕や手首、肩への負担が大きくなる。その点、幅294ミリとコンパクトなHHKBならマウスも体の中心に近い。腕を動かす量が減り、体への負担が小さくなって疲れにくくなる。

 HHKBを使っていれば、1時間を超えるようなWeb会議でタイピングし続けても大きな負担にならなかった。Web会議を録画して、後でタイピングすることもできるが、余計な時間を使わないに越したことはない。

 価格が高いと感じる人もいるだろう。そういう人はコストパフォーマンスを考えてみよう。筆者は1日に約2万8000回タイピングしている。安いキーボードだと1年を待たずに壊れてしまうことがあり、昔はそのたびに買い替えていた。しかし、10年以上前に購入したHHKBはすでに1億タイピングを超えているが、一切故障の気配はない。なお、HHKBの1キー当たりの寿命は3000万回とされている。パソコンや周辺機器は短期間で買い替えても、キーボードは長い期間使えるガジェットだ。そう考えれば、3万円台半ばという価格もあまり高く感じないだろう。