2021年2月、大分県中津市の開通前の自動車専用道路で食事したり宿泊したりする地域体験型ツーリズム「耶馬渓(やばけい)トンネルホテル」が実現した。21年度のグッドデザイン賞や九州ADCアワード2021のカテゴリー賞のソーシャルグッド部門で受賞するなど、反響を呼んだ。ツーリズムを統括したテンポラリ耶馬渓の福田まや代表に、イベントの様子や意義について語ってもらった。(聞き手は真鍋 政彦=日経クロステック)
2021年2月11日~13日のうち2日を選んで、1泊2日で宿泊する「耶馬渓トンネルホテル」には、どのような人が参加したのでしょうか。
福田まや・テンポラリ耶馬渓代表(以下、福田): 多かったのは子ども連れの家族です。おしゃれな人ばかりが参加するのかと思っていたのですが、ジャージを着たおじさんも来てくれました(笑)。20代のカップルや海外の旅行インスタグラマーなど、とにかくいろんな人が県内外から参加してくれました。これまで土木に興味がなかった人に、トンネルの魅力を訴求できたのではないでしょうか。
トンネルの現場に関わる方など、建設関係者も複数人いました。その他、イベントに参加してくれた寡黙だった人が、イベント後に宿泊場所のキャンピングカーに置いていたノートの切れ端に、企画に対する感謝の意を書かれてくれていたのは、とてもうれしかったです。
実施したのは 2月でしたが、トンネル内は寒くなかったのでしょうか。
福田: 寒さについてはあまり心配していませんでした。トンネル内に設けた食事スペースは簡易なビニールシートで囲んでいたし、ストーブも置いていたので。事前にBluetoothで送信できる気温計を数カ所に置いて気温を計測したところ、人がいる所で15、16度ぐらいでした。