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 2022年10月末、米起業家のイーロン・マスク氏が米Twitterを買収完了したというニュースが飛び込んできた。「the bird is freed(鳥は自由になった)」という同氏のツイートを見て、COBOLもクラウド=「雲」の上を飛び回れるよう自由になれたらと考えた。

本来の「オープンなCOBOL」への回帰を望む

 COBOLは1959年、標準言語策定委員会の「CODASYL(the Conference on Data Systems Language)」によって誕生した。CODASYLは、事務処理分野でコンピューターを普及させるために、米国防総省をはじめとする政府機関やメーカー関係者が結成したものだ。同委員会の母体となった会議にはユーザーも参加し、COBOLはオープンでスタンダードなプログラミング言語としてスタートした。

 だが誕生から60年以上経過し、残存するCOBOLシステムにはさまざまなしがらみがある。COBOLの最大の稼働プラットフォームであるメインフレームでは、高価なハードウエアや特殊なデータベース構造、文字コードといった制約からデータの活用が容易ではない。

 2000年ごろから進んだオープン系サーバーへの移行やダウンサイジングの中で使われるようになった「オープンCOBOL」も、その名前とは裏腹に「ベンダーロックイン」から脱却できていない。ユーザーは、商用COBOLのライセンスや単一メーカーの垂直統合によるミドルウエア構成に縛られ、特定の事業者の製品やサービスを利用し続けなくてはならなくなっている。またCOBOLアプリケーション開発の生産性向上の名のもとに開発された特殊な開発環境に縛られ、COBOL人材の固定化や高齢化も止まらない。

 コンピューターメーカーのメインフレームからの撤退や分社化が相次ぎ、オープンCOBOLベンダーの買収が進む中、商用COBOL製品の実質値上げの動きも見られる。今後は、こうした製品の利用には、かなり慎重な見極めが不可欠になる。

 一方で、メインフレームからクラウドへの移行が加速する現在も、オープンソースCOBOLは大規模プロジェクトへの利用が広まらない。商用COBOLベンダーはいっそのこと、COBOLを自由にするために、COBOL製品の無償化やオープンソース化に踏み切ってはどうだろうか。せめて富士通が米国で実施しているようにランタイムモジュールだけでも無償にすれば、状況はかなり改善する。

 半世紀に及ぶCOBOL製品開発の歴史を持つベンダーは、コンパイラー製品のテストのために膨大なCOBOLテストプログラムを蓄積してきた。これらも開示できないだろうか。例えば、歴史的名機「IBM System/360」をターゲットとして1965年に書かれた「US-STEEL」というCOBOLベンチマークプログラムがある。多くのベンダーがこれを製品テストに利用した。オープンソースCOBOLの開発や「COBOL to Java」の変換ツールのテストのためにも、膨大なCOBOLテストプログラムを開示してほしい。