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 2021年末から2022年にかけて、企業や自治体などが自前の5G(第5世代移動通信システム)インフラを構築できる「ローカル5G」関連の製品・サービスが相次ぎ登場している。市場はにわかに勢いづいているが、普及への鍵を握るのは自らインフラを構築・運営する全国各地の企業だ。ローカル5Gを将来の事業の柱と見据える、ある企業の事例を見てみよう。

近くの遺跡公園まで通信エリア化

 新潟県上越市にある上越妙高駅近くの商業施設「エンジョイプラザ」で2021年秋、ローカル5Gの通信環境を備えたビジネス拠点「JM-DAWN(ジェーエム・ドーン)」が完成した。交通の便と最新の通信環境を生かして企業誘致や地域産業の活性化を目指す「スマートテレワークタウン ローカル5Gラボ@上越妙高」プロジェクトの一環である。

 プロジェクトを代表しているのは地元企業の丸互だ。同社は1953年の創業で製材や金属加工、ソフトウエア開発など幅広い事業を手掛ける。さらに上越市、新潟大学、第四北越銀行、NTT東日本などもプロジェクトに参画している。

 JM-DAWNの広さはおよそ260平方メートル。拠点内にはサテライトオフィスやコワーキングスペース、スタジオがあり、来訪者はどこにいてもローカル5Gで通信できる。スタジオでは遠隔にあるカメラの4K映像を壁に大きく映し出せる。オンラインセミナーや、複数の会場を結ぶイベントなどでの活用を想定している。

上越妙高駅西口近くにある「JM-DAWN」。写真右はローカル5Gの屋内アンテナ
上越妙高駅西口近くにある「JM-DAWN」。写真右はローカル5Gの屋内アンテナ
(撮影:日経クロステック)
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 JM-DAWNのローカル5G設備が、屋内エリアに加えて屋外エリアをカバーしている点もポイントだ。商業施設の外壁にローカル5Gのアンテナを取り付けて、周辺にある釜蓋遺跡公園の一帯を通信可能エリアとしている。

ローカル5Gの電波を屋外にも飛ばしている
ローカル5Gの電波を屋外にも飛ばしている
(撮影:日経クロステック)
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 ドローンの撮影映像をローカル5G経由で拠点側に送ったり、除雪機や建設機器の自動運転などにローカル5Gを利用したりと、オープンイノベーションにつながる最新技術の検証フィールドとして活用していく。屋内と屋外をカバーしているローカル5G環境は全国でもまだ珍しい。

施設近くにある釜蓋遺跡公園の一帯をローカル5Gでカバー
施設近くにある釜蓋遺跡公園の一帯をローカル5Gでカバー
(出所:NTT東日本)
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 東京に本社を置くIT企業がJM-DAWN内のサテライトオフィスに入居するなどプロジェクトの成果は出始めている。もっとも、ソフト開発を手掛けるとはいえ通信の世界は縁遠い丸互が、ローカル5G事業に乗り出したのはなぜか。