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 「原材料価格の上昇などへの対応策として、車両価格を引き上げるのは最後の手段だ」──。日産自動車最高執行責任者(COO)のアシュワニ・グプタ氏は、2022年2月8日にオンライン開催した21年度第3四半期累計(21年4~12月)の連結決算会見でこのように述べ、原材料価格の上昇などのコスト増加をできるだけ抑える取り組みを進めながら、車両の商品価値を高めることによる価格改定などで対応する考えを示した(図1)。

アシュワニ・グプタ氏
図1 日産自動車COOのアシュワニ・グプタ氏
(出所:オンライン会見の画面をキャプチャー)
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 日産が同日に発表した21年度第3四半期累計の連結決算によると、鋼材やアルミニウム合金、樹脂、貴金属(エンジン後処理の触媒に使うロジウム)などの原材料価格の上昇は、同期累計で811億円の減益要因となった(図2)。

営業利益の増減要因(21年度第3四半期累計)
図2 営業利益の増減要因(21年度第3四半期累計)
(出所:日産自動車)
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 コスト増加を抑える対策として、アライアンス(日仏3社連合)で原材料を共同調達し、規模のメリットで購入価格を下げる取り組みを進めてきた。さらに、ロジウムなどの貴金属については、「技術開発によって使用量を減らせるようにした」(グプタ氏)とする。

 こうした取り組みの結果、21年度通期(21年4月~22年3月)の原材料価格の上昇による減益額は、前回計画(21年11月公表、以下同じ)に比べて100億円減らせる見通しだ(図3)。それでも、原材料価格の上昇は同通期に1750億円の減益要因になるとみており、今後の最大の懸念材料になる。

営業利益の増減要因(21年度通期の見通し)
図3 営業利益の増減要因(21年度通期の見通し)
(出所:日産自動車)
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 もう1つの懸念材料は、車載半導体を含む部品不足による生産の制約である。生産制約は現在も続いており、21年度通期の減産台数は約60万台に達するとみている。ただ、この減産台数は前回計画から変わっておらず、「生産制約はあるが、コアの車種をコアの市場に重点的に投入することなどで、1台でも多くの車両を顧客に届けられるようにする」とグプタ氏は強調した。

 また、ガソリンエンジンの開発を終了するという一部報道についてグプタ氏は、「欧州向けの車両については、新たな排ガス規制(Euro7)の導入以降は、新たなガソリンエンジンを開発しない」と明かした。

 なお、日産が22年2月8日に発表した21年度第3四半期累計決算によると、同期の世界販売台数は、前年同期に比べて4.6%増の290万6000台である。日本と欧州を除く地域で、新型車の販売が好調だった。営業損益は1913億円の黒字を確保した(前年同期は1316億円の赤字)。

 半導体不足による生産制約が続いているため、21年度通期の世界販売台数は前回計画を据え置いて380万台とした。一方、同通期の売上高は前回計画から900億円下方修正したが、営業利益は同300億円上方修正した。前述した原材料価格の上昇への対応策や販売の質改善、為替の円安が寄与する。