製造業でデジタルトランスフォーメーション(DX)を実践している先進企業や、その推進を支援する製品・ソリューションが講演する「製造業DXカンファレンス 2022」が2022年1月26日にスタートした。1月26日の基調講演では、日本製鉄デジタル改革推進部部長の星野毅夫氏が登壇し、「日鉄DX ~ものづくりのスマート化~」と題した講演を行った。
同社のDX戦略について星野氏は、製造現場から営業現場まで、すべてのデータを「つなげる力」、そのデータを「あやつる力」の2つが重要だと語った。
3週間かけて人手で作っていた生産計画
自動車産業に象徴される組み立て産業は受注すると、製品を構成する部品や材料にブレークダウンして調達や生産計画を立てる。一方、鉄鋼などの素材・プロセス産業では、同じロットの素材(鉄鋼の場合は溶鋼)から仕様が異なるさまざまな製品を生産するため、製品の組み合わせ数が膨大となるため、生産計画の立案が難しい。顧客からのいろいろな注文に対して、中間製品(鋳片や溶鋼)が変わるからだ。
「製造は上工程からだが、計画は下工程から作らなくてはならない。従来は熟練者が知恵を絞って3週間ほどの時間をかけてやっていたが、効率が悪いためDXを進めている」(星野氏)。これまでに蓄積した注文から製造までのデータを機械学習にかけ、生産計画シミュレーターに反映。このシミュレーターを使って生産計画を検討し、販売計画と連動した供給体制の最適化を図っている。