南太平洋のトンガ沖で2022年1月15日に発生した海底火山の大規模噴火は、新たなリスクを突きつけた。111の活火山を抱える世界有数の火山国である日本でも、都市機能をまひさせる規模の噴火がいつ起こってもおかしくない。活火山の1つ、富士山が噴火した場合、全国でどの程度の被害が出るのか。想定される被害規模や防災対策の進捗に迫る。

富士山噴火、対策の“空白地”
目次
-
住宅は噴火にどう耐えるか、鹿児島独自の「克灰住宅」を解説
火山噴火を想定したハザードマップの作製や内容の充実化が進むなか、こと住宅については対策が不十分なままだ。「降灰被害は抑えられるようになってきた。これからは火砕流や溶岩流への対策が急務だ」。鹿児島市内の建築設計事務所「深野木組」の深野木信代表取締役はこう語る。
-
「大規模噴火は必ず発生する」、先進自治体・鹿児島市に学ぶ心構え
火山噴火への備えに注目が集まっている。今後、火山防災計画の作成、計画内容の充実に向けて取り組む自治体は増えていくだろう。参考になるのが「火山防災トップシティ構想」を掲げる鹿児島市だ。
-
想定外に備える、噴火被害抑制の鍵は「リアルタイムハザードマップ」
火山噴火は、火口の位置や噴火の規模など不確定要素が多い。被害想定の範囲も大きく、全域をハード対策だけで対応するのは限界がある。できる限りの減災にはソフト対策を講じる必要がある。その鍵となるのが、噴火の状況を即座に伝える「リアルタイムハザードマップ」だ。
-
富士山以外の噴火リスク、「真の盲点」は国内111の活火山いずれでもない
富士山噴火のハザードマップが2021年3月に改定され、注目が集まった。ただし、日本は富士山だけでなく、111の活火山を有する火山大国だということを忘れてはいけない。富士山以外の噴火リスクをみてみよう。
-
交通インフラを襲う富士山噴火、鉄道・高速道路各社の対策は十分か
富士山噴火への備えはどれほど進んでいるのか。特に交通インフラを運営する企業には事前の対策が求められる。噴火発生後に交通インフラが断絶されれば、被災地への救助支援や物資の運搬が滞ってしまう恐れがある。ただ、富士山噴火の対策は動き始めたばかりで、現時点で十分とは言えない。
-
富士山噴火でトヨタの「ウーブン・シティ」はどうなる? 避難計画を読み解く
トヨタ自動車が富士山のふもとで開発を進める実験都市「Woven City(ウーブン・シティ)」は、富士山が噴火した場合にどんな影響を受けるのか。2021年に噴火の被害想定が変わったことで、ウーブン・シティも防災計画の変更を迫られそうだ。
-
富士山噴火リスクを徹底解剖(下)、噴火からたった3時間で東京ブラックアウト
富士山の大規模噴火で発生する溶岩流や火砕流は、東京都には届かないと想定されている。だからといって安心はできない。広域に堆積する火山灰が、首都圏の都市機能を停止させる恐れがあるからだ。内閣府が公表した富士山の噴火による首都圏の被害想定を基に、リスク徹底解剖(下)では「降灰」が東京都などに与える影響を…
-
富士山噴火リスクを徹底解剖(上)、改定ハザードマップでは溶岩噴出量が2倍に
南太平洋のトンガ沖で2022年1月15日に発生した大規模噴火は人ごとではない。多くの活火山を抱える日本でも、噴火が起こった際にどれほどの地域に被害が出るのかを認識しておかなければならない。新連載「富士山噴火、対策の“空白地”」。まずは富士山噴火に関するハザードマップを読み解く。