ここからは、Officeを構成する主要アプリのそれぞれで新機能を見ていこう。Microsoft 365では導入済みの機能なので、2021に追加された機能として紹介する。まずは、数式関連で注目の新機能があるExcel 2021を取り上げよう。
スピルで変わる数式の常識
Excelでは、セルに数式を入力すると、そのセルに計算結果の値を表示するというのがこれまでの常識だった。しかし、新機能の「スピル」ではその常識が変わる。
スピルは、数式が複数の値(配列)を返す場合、数式を入力したセルを起点として、セル範囲に自動で値を配置する。英単語の「spill」は「こぼれる」「あふれる」などといった意味。Excelのスピルは、数式を入力したセルだけでなく、隣や下にあるセルに、こぼれ出したように値を自動入力する。
例えば、B1~E1のセル範囲とA2~A4のセル範囲を掛ける数式を入力すると、その計算結果はスピル機能によって、数式を入力したセルを左上にした4列2行のセル範囲に自動入力される(図1)。
Excel 2019以前でも「配列数式」を使えば同様の結果を得られる。しかし、この場合は入力対象のセル範囲を事前に選択し、確定時に[Ctrl]+[Shift]+[Enter]キーを押す必要がある。また、セル範囲全体に数式を入力した状態になるので、個別の変更はできない。スピルとは異なる機能だ。
Excel 2021ではいくつかの関数も追加されており、特にスピルの機能でより便利に使えそうなものが多い(図2)。ここでは追加された関数の中から、「XLOOKUP」関数でスピルを使う例を見ていこう。