「LiDAR(レーザーレーダー)はディーラーで取り付け作業できるように、配線まで済ませた状態で出荷している」。トヨタ自動車の自動運転開発者はこう明かす。本当か――。
こんな疑問を持ってスタートしたのが、トヨタの燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」の分解調査だった。調査すべき項目は数多くあるが、プロジェクトチームは「面白そうなところから見てみよう」という意見で一致した。
日経BPのプロジェクトチームが購入したミライは、高度運転支援技術「Advanced Drive(アドバンストドライブ)」を搭載したモデルである。当初は4個のLiDARを搭載して周囲の状況を監視する予定だったが開発が間に合わず、発売時点では前方監視用としてLiDARを1個だけ搭載することになった。
そして、左右と後方の計3個のLiDARは、後付けで無償追加することとした。販売後の車両の部品を更新する“ハードウエアアップデート(ハード更新)”は、トヨタとして初めての取り組みとなる。
ハード更新の作業を担当するのはディーラーだ。自動車整備のプロではあるが、新型のセンサーを扱った経験はない。トヨタの開発担当者には、LiDARを容易に後付けできるような配慮が求められた。いったいどのように解決したのか。分解して確かめてみた。
樹脂カバーを外してみると……
左右と後方のLiDARを追加する場所は、樹脂カバーで覆われている(図1)。既報の通り、車両後方のカバーを外すと、ダミーのLiDARが姿を現した(図2)。
本物のLiDARを取り付けるには、樹脂製のアンダーカバーも取り外す必要があることが分かった(図3)。ダミーのLiDARはリアバンパーの裏側から3本のボルトで固定されていた。ダミーであるにもかかわらず、電気配線が2本接続されていた(図4)。本物を付ける際には、まずダミーのLiDARを取り外し、電気配線を付け替える作業を行うとみられる。
では、車両左右の側方監視用LiDARはどうか。