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 「今後予定のソフトウエアアップデートに向け、車の側方・後方にLiDAR(レーザーレーダー)の装着が必要となります。つきましては、お買い上げの販売店と来店の日にちをご相談ください。なお装着に費用はかかりません」

 これは、高度運転支援技術「Advanced Drive(アドバンストドライブ)」(以下、AD)を搭載する「MIRAI(ミライ)」「レクサスLS」のオーナーに向けてトヨタ自動車が出した案内である。LiDARをディーラーで後付けし、今後のソフト更新で覚醒させる計画だ。

 休眠状態のセンサーを機能させる仕組みとして、トヨタはAD搭載車にOTA(Over The Air)に対応したシステムを導入した。

 実は既に、OTAによってADのソフトを2回更新している。Woven CoreでHead of Tech.を務める板橋界児氏(トヨタ自動運転・先進安全開発部主幹を兼務)によると、「合計で50項目を変更し、制御の性能を向上させたり表示系の分かりやすさを改善したりした」という(図1)。

図1 Advanced Driveを搭載したトヨタ「ミライ」
図1 Advanced Driveを搭載したトヨタ「ミライ」
いわゆる「レベル2+」の先進運転支援システム(ADAS)で、高速道路や自動車専用道路において車線・車間維持、分岐、車線変更、追い越しなどをシステムが支援する。(撮影:日経クロステック)
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 1回目のソフト更新は、車両発売から3カ月ほどたった2021年7月28日である。目玉は、深層学習(ディープラーニング)によるウインカー認識アルゴリズムの導入である。前方監視用のカメラで取得した時系列の画像からウインカーの点滅を判定する。

 自車線内に進入してくる割り込み車両を早期に検出できるようになり、減速のタイミングを前倒しした。これにより車両の減速度(前後加速度の負の値)を減らせ、「安心感の向上につながる」(同氏)という。

 2回目のソフト更新は21年11月9日に実施。追い越しの際に作動する「側方間隔確保機能」の条件を変更し、より積極的に作動するようにした。同機能は例えば、全幅が広い大型車を追い抜く際、車線内で右に寄りながら走行するもの。このほか、車線変更支援機能を使える場面を拡大させたという。液晶メーターのグラフィックスの背景色なども変更し、視認性を向上させた。

4個のECUをOTA対応に

 ソフト更新によるADの性能向上を実現するため、ミライはOTAに対応したECU(電子制御ユニット)を4個採用している。すべて車両から取り外し、内部基板を確認していく。

 4つのECUのうち、センサーで取得した情報を高速処理して車両制御の中核を担う「ADS(Advanced Drive System)ECU」と前方カメラの情報からAI(人工知能)処理する「ADX(Advanced Drive Extension)ECU」は荷室内の天井に固定してあった(図2、3)。

図2 荷室上部に不自然な膨らみ
図2 荷室上部に不自然な膨らみ
カバー内(赤色の点線部)に2つの大型ECUがあった。(撮影:日経クロステック)
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図3 荷室上部からECUを取り外す
図3 荷室上部からECUを取り外す
(撮影:日経クロステック)
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 筐体(きょうたい)はアルミニウム(Al)合金で、手に持つとずっしり重い(図4)。ADSとADXは外観こそ似ているが、内部の基板には大きな違いがある。

図4 ADS ECUの外観
図4 ADS ECUの外観
(撮影:日経クロステック)
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 ADSは、LiDARとカメラ、ミリ波レーダーという3種類のセンサーからの情報がすべて集結するECUである。こうしたセンサー情報を処理する半導体として採用したのが、ルネサスエレクトロニクスの高性能SoC(System on Chip)「R-Car H3e」である(図5)。

図5 ADS ECUの内部基板
図5 ADS ECUの内部基板
ルネサスエレクトロニクスの高性能SoC「R-Car H3e」を2個搭載する。(撮影:日経クロステック)
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 注目すべきは、同SoCを2個搭載する点だ。