「NOBLY(ノブリー)」はネットから話題のキーワードを抽出し、それぞれの盛り上がり度合いを指標化する日本経済新聞社発の新ツール。独自のアルゴリズムを使い、その時点まではあまり一般には知られていないが、何らかの理由で急に注目を集めたキーワードをあぶり出せる。本コラムはNOBLYが見つけ出した急上昇キーワードを紹介、その意味や注目を浴びた経緯を解説する。
NOBLYはオンライン百科事典「Wikipedia(ウィキペディア)」の閲覧数などを元データとして、注目キーワードをあぶり出す。2022年2月の月次集計で上位になったのが「DuckDuckGo(ダックダックゴー)」だ。2月の集計で急浮上したのは確かだが、別記事で示した「欧州経済領域(EEA)」の場合のような明確な契機は観察できない。NOBLYのデータからは、突如急浮上したというよりは、以前からジワジワと注目を集めつつあったことが見て取れる。
DuckDuckGoの2022年2月の月次順位は5436位。欧州経済領域の508位に比べると低いが、ジワジワと注目を集めつつある動向を重視して、今回はこのキーワードを取り上げる。
「個人情報を保存しない」検索エンジン
DuckDuckGoは、同名の米国企業が2008年から運営するインターネット検索エンジンである。検索エンジンの世界市場では、米Google(グーグル)が90%程度の圧倒的シェアを押さえるのに対し、DuckDuckGoは1%未満だとみられる。わずかなシェアにもかかわらず注目を集めるのは、Googleに対する対立軸を明確にしているからだ。
DuckDuckGoのWebサイトには「私たちはあなたの個人情報を保存しません。絶対に。」と大書きされている。Googleは、個人の検索履歴を保持し、その個人にカスタマイズした検索結果を表示している。Googleが提供するGmailやYouTubeなど多数のサービスの利用状況も検索結果に反映される可能性がある。
一方で、DuckDuckGoは検索履歴を含む個人情報を取得しないとうたっている。巨大企業となったGoogleに個人情報を把握され、それが検索結果に表れるのを快く思わない人は少なくない。その場合に、DuckDuckGoは代替手段になり得る。