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 「NOBLY(ノブリー)」はネットから話題のキーワードを抽出し、それぞれの盛り上がり度合いを指標化する日本経済新聞社発の新ツール。独自のアルゴリズムを使い、その時点まではあまり一般には知られていないが、何らかの理由で急に注目を集めたキーワードをあぶり出せる。

 本コラムはNOBLYが見つけ出した急上昇キーワードから「オープンソース・インテリジェンス(OSINT、オシント)」をピックアップ。その意味や注目を浴びた経緯を解説する。

 NOBLYはオンライン百科事典「Wikipedia(ウィキペディア)」の閲覧数などを元データとして、注目キーワードをあぶり出す。

 2022年3月の月次集計で上位になったのが3184位の「オープンソース・インテリジェンス(OSINT、オシント)」だ。Wikipedia日本語版の記事本数が130万本超なので、上位0.3%以内という最上位に当たる。

 NOBLYでは時事で話題になっている地名や人名・企業名、サービス名、流行語などが上位を占めるが、OSINTは昔からありふれた一般名詞。一般名詞が上位に来るのは珍しい。なぜOSINTが今注目を集めているかに着目したい。

 OSINTは、直訳すれば「公開された情報を基にした知見」である。OSINTは軍事や公安の分野で重視される。例えば防衛省・自衛隊や各国の軍隊にはOSINTを担当する部隊があり、組織的に活動している。後述する英Bellingcat(べリングキャット)のような民間の調査団体もあり、民間の知見がインターネット上で駆け巡るケースも増えた。

 OSINTでは新聞や雑誌、書籍、テレビ、Webサイトなど公開されている情報を収集・整理する活動が基本になる。この連載で前回扱った、公開された飛行機のリアルタイム情報を集約した「Flightradar24」もOSINTの典型的な情報源になるだろう。

 民間機の動きから各国の旅客・貨物の動向が分かり、軍事行動の兆候も見えるかもしれない。公開された情報の一つひとつの価値は小さくても、詳細に読み解いて事実関係を積み重ねていけば、軍事活動や政治活動、企業活動に役立つ。

 コンピューターセキュリティーの世界でもOSINTが重視される。米Microsoftや米Google、米Appleなどは自社製品のセキュリティー脆弱性情報を自社サイトで公開している。インターネット上を流れる誰でも解読可能な膨大な通信データもOSINTの重要な情報源だ。日本の内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)や情報通信研究機構(NICT)などはこうした情報を分析・集約。国民や官公庁、日本企業に向けてセキュリティーに関する注意喚起をしたり、情報セキュリティー政策を策定したりするのに役立てている。