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 MACアドレスはネットワークに欠かせない識別情報の1つだ。IPアドレスに比べてあまり知られていないが、通信を裏方で支える重要な要素である。昨今は、iPhoneなどでMACアドレスの「ランダム化」がデフォルトになり、それに伴ってトラブルが発生する懸念があるなど、ネットワーク管理者が知っておくべき新しいトピックもある。改めてMACアドレスについて理解し、謎に思っている部分や疑問点をなくしておこう。

Q:MACアドレスはどこが管理しているの?

 機器固有のMACアドレスは、ベンダーに割り当てられた前半24ビット(OUI:Organizationally Unique Identifier)と、各ベンダーが独自に割り当てられる後半24ビットで成り立っています。OUIは、米国の標準化団体であるIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)が一元管理していて、重複しないように各ベンダーに割り当てます。もともとはイーサネットを開発した米Xerox(ゼロックス)が管理していました。

 IEEEが払い出す24ビットのOUIは、「MA-L(MAC Address Block Large)」と呼ばれています。現在は3180米ドル(約37万円)を支払えば割り当てを受けられます。また、24ビットよりも小さいブロックで割り当てを受けることもできます。具体的には、28ビットの「MA-M(MAC Address Block Medium)」、36ビットの「MA-S(MAC Address Block Small)」です。これらはより安い料金で割り当てが可能です。

 一般的なパソコンやスマートフォン、ネットワーク機器のベンダーは割り当てる機器の台数が多いのでMA-Lを購入します。一方、MA-MやMA-Sは小規模なベンチャーやPoC(Proof of Concept)など、少量のMACアドレスだけで済むようなケースで利用されているようです。

Q:ベンダーに割り当てられたMACアドレスはどうやって確認できるの?

 IEEEの「IEEE Registration Authority:Assignments」という公式サイトでOUIのベンダーへの割り当てを確認できます。

「IEEE Registration Authority:Assignments」でベンダーとOUIの対応が分かる
「IEEE Registration Authority:Assignments」でベンダーとOUIの対応が分かる
(出所:IEEE)
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参考サイト IEEE Registration Authority:Assignments

 ただし、検索の方法に少し分かりにくいところがあります。まず「Please select a Product」とあるメニューから割り当て対象となる番号を選ぶのですが、とりあえず「All MAC(MA-L、MA-M、MA-S)」を選べばよいでしょう。そのメニューの右側にある検索ボタン(虫眼鏡のアイコン)をクリックすると、下に「Filter results by search text」とグレーのテキストで書かれたフォームが表示されます。ここにベンダー名を入力して右のFilterボタンをクリックすると、そのベンダーに割り当てたOUIが表示されます。逆に、OUIを入力すると、そのOUIが割り当てられたベンダーが表示されます。