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 世界では、車載向けリチウム(Li)イオン2次電池(LIB)のリユースやリサイクル事業に参入する動きが相次いでいる。2022年初頭時点での処理量は、LIBセルで多くても数万トン/年だが、2025年には日経クロステックの推定で150万トン/年と100倍前後に増える見通しだ。

Li、Ni、Coの価格上昇が続く

 背景には、(1)LIBの資源の供給ひっ迫への不安、(2)LIBの製造不良品や車載用電池としての役割を終えた退役LIBが今後猛烈に増えて、その廃棄処分問題が顕在化してくることへの不安、(3)LIBの製造時に排出される二酸化炭素(CO2)が非常に多いことやその結果として電気自動車(EV)の製造時のCO2排出量低減への社会的圧力が高まると予想されていること、などが挙げられる。

退役LIB=繰り返し充放電することで、本来の性能が発揮できなくなり当初の役割を終えたLiイオン2次電池。製造不良で出荷できなかったLIB、あるいは、リコールなどで回収された製品も含む。英語ではしばしば、「EOL(End-Of-Life)LIB」などと呼ばれる。

 (1)は既に数字になって表れている。2021年には、自動車メーカーのEVやその蓄電池であるLIBへの巨額投資発表が相次いだ。トヨタ自動車を含む主要自動車メーカーや大手電池メーカーのLIB製造への投資額合計は発表された分だけで10兆円を超えた。2030年時点のLIBの年間計画量の合計は5TWh(5000GWh)に達するとみられている。

 そしてその結果としてLIBの各種資源、例えば、Li、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)の市場価格が高騰している(図1)。Niは10年以上ぶりの高値を記録。Liは、炭酸リチウム(Li2CO3)が2022年2月初め時点で1kg当たり約6700円(1中国元=約18円で換算)と、2020年後半の水準の約9倍、2018年前後の価格急騰時と比べても2倍以上と、異常な高値になっている。

図1 LIBの重要材料の市場価格は暴騰中
図1 LIBの重要材料の市場価格は暴騰中
炭酸リチウム(Li2CO3)とコバルト(Co)、ニッケル(Ni)の約5年間の市場価格の推移をそれぞれ示した。(出所:米Trading Economics)
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