これまでは収益性の確保が難しかったリチウム(Li)イオン2次電池(LIB)のリサイクル(再資源化)技術が急速に進化し、本格的な事業化が可能になりつつある。それを実現する技術の方向性は大きく3つある(図1)。
(1)できるだけ低コストかつ低温で処理し、二酸化炭素(CO2)排出量を減らす、(2)できるだけ構造を壊さずに分解して元の部材を生かす、(3)これまでのニッケル(Ni)やコバルト(Co)だけの回収から、Liを含むほとんどの金属、そして黒鉛や樹脂類なども回収する、という方向である。
具体的な手法としては、LIBを破砕して得られる正負極材料が混合した塊や粉(ブラックマス)から各種元素を取り出す方法として従来一般的だった「乾式製錬」から「湿式製錬」、さらにはその先の「ダイレクトリサイクル」へと大きく変わりつつある。