全5577文字

 米Meta Platforms(メタプラットフォームズ)や米Microsoft(マイクロソフト)に代表されるグローバルのビッグネームに続き、日本でも様々な企業がメタバース市場への参入を表明している。特集第2回は、メタバースビジネスを構成するプレーヤーと仮想空間を支える技術についての解説編だ。「メタバース市場、その構造は?」「グローバルにはどんなプレーヤーがいる?」「日本ではどんなことが起きている?」「メタバースの進化を支える技術は?」の4つの疑問を取り上げる。

【疑問4】メタバース市場、その構造は?

 メタバースのビジネスに関わるプレーヤーの構造は、基本的には従来のITサービスなどと大きく変わらない。仮想空間にアクセスするためのデバイスはパソコンやタブレット、スマートフォンなど、これまでも広く利用されていたものだ。メタバースならではと言えるのは、仮想空間に没入するためのヘッドマウントディスプレーの存在だ。メタの「Oculus Quest(現Meta Quest)」やマイクロソフトの「HoloLens」などが代表的だ。

 仮想空間を構築するためのインフラ部分は従来のインターネットと同じように、既存のクラウド事業者やネットワーク事業者が提供するサービスで構成される。インフラの上では仮想空間を構築し提供するプラットフォーマーがサービスを展開する。単純に空間の基礎を提供するだけでなく、仮想空間内の環境構築やそこで開催するイベントの運営、アバターの提供なども手掛けるのが特徴的だ。

 例えば、メタバースのプラットフォーム「cluster」を提供するクラスターではバーチャルイベントを即日で開始できる「clusterスターターパッケージ」を提供。VR(仮想現実)イベントを手掛けるHIKKYは同社が仮想空間内に「街」を作り、その中で企業やクリエーターが出店などをできる環境を用意している。プラットフォーマーは提供するサービスの利用料などを収益源とする。

VRイベント「バーチャルマーケット2021」内で企業などがブース出店できる「パラリアル秋葉原」
VRイベント「バーチャルマーケット2021」内で企業などがブース出店できる「パラリアル秋葉原」
(出所:HIKKY)
[画像のクリックで拡大表示]

 仮想空間内で展開するビジネス規模をみると「メタバース市場は広告が大部分を占めると予測されている。メタバース内で仮想の家具や車などの商品を試してリアルの商品を購入させるなど、電子商取引(EC)のようなマーケティングも主流になると思われる」(KPMGコンサルティングの岩田理史Technology Media&Telecomマネジャー)。他にも、仮想空間の中で使えるアバター装備などの商品の販売、バーチャルイベントへの参加費用などから企業は収益を得る。個人もリアルの店舗を持つことなく制作物を売り、収益とするクリエーターエコノミーが成立する。

【疑問5】グローバルにはどんなプレーヤーがいる?

 2021年10月に「コミュニティー支援というミッションはそのままに、新しいソーシャルエクスペリエンスを提供する」(Facebook Japanの味沢将宏代表取締役)として、メタプラットフォームズへ社名変更した米Facebook(フェイスブック)は象徴的だ。同社はMeta Questを装着して仮想空間で仕事ができるVR会議ツール「Horizon Workrooms」、クリエーターが「ワールド」と呼ばれる独自のVR空間を作れる機能も持つアプリ「Horizon Worlds」などを提供。既に同社が提供しているFacebookやInstagramなどのソーシャルアプリも含めてメタバースを進化させていく方針だ。味沢代表取締役は「1社独占を目指すのではなく、多様なステークホルダーと早期から議論を続けて安心安全に使ってもらえるメタバース、オープンな競争環境を作っていきたい」と話す。

 マイクロソフトは2021年11月に「Mesh for Microsoft Teams」を発表、2022年上期にはプレビュー版の提供を開始予定だ。既存のMicrosoft Teams内に3次元空間でのミーティング機能を追加する。Mesh for Microsoft Teamsでは利用者がカスタマイズできるアバターを提供する。同社による調査の結果、カメラをオンにした状態の方がミーティングに参加する際の積極性が増すことが分かっているという。また、物理的なオフィスのデジタルツインを作る機能を持ち、仮想オフィスの廊下で会話するといった偶発的なコミュニケーションも促す。

 同社はメタバースブーム以前からAR(拡張現実)を主軸に製造や建築、医療などの現場にHoloLensを導入、業務のトレーニングや専門家によるリモートからの業務支援などに取り組んできた。「フロントラインワーカーの生産性向上は事例が積み重なってきた。これからはインフォメーションワーカーの生産性向上などの領域を広げていく」(日本マイクロソフトの上田欣典Mixed Realityマーケティングプロダクトマーケティングマネージャー)。

Mesh for Microsoft Teamsのイメージ
Mesh for Microsoft Teamsのイメージ
(出所:マイクロソフト)
[画像のクリックで拡大表示]